KTMより大排気量モタードの690 SMC R。こういう軽量な車体をキビキビと動かすタイプのバイクはKTMの得意とするところです。
KTMの誇るビッグモタード
スタイリングはオフロードのボディに小径ホイールとオンロードタイヤを装着した本格的なスーパーモタードスタイルですね。無駄を削ぎ落とした車体は690ccとは思えない程コンパクトです。
車重は乾燥重量で144kgと燃料やオイル類を搭載してもかなりの軽量級に仕上がっています。KTMのバイクはどれも国産よりシートが高い傾向に有りますが、この690 SMC Rもシート高890mmと非常に高い設計です。車体が軽く、跨ってしまえば支えるのは難しくないとはいえ、ライダーの体格によっては足付きの悪さがネックになる可能性が有ります。
外装を取り払うとオレンジのトラスフレームがはっきりと分かりますね。フレームはクロームモリブデン鋼管、スイングアームはアルミと素材を切り替えて適切な剛性と運動性能を実現しています。サスペンションは前後共にKTMグループのWP製。48φの倒立フォークもガス封入式のモノショックもどちらも購入後の調整が可能です。ブレーキはハイスピードコーナーリングにも耐える高剛性なラジアルマウントのBremboキャリパーにボッシュのABSを組み合わせています。スーパーモタードの690SMC R用にSupermotoモードが用意されており、必要に応じてリア側のABSを解除し、テールスライドをライダーがコントロール出来る様に切り替えが可能です。ホイールは前後17インチのスポークホイールで悪路走行時の衝撃を適度に吸収してくれます。タイヤサイズはフロントが120/70-17、リアは160/60-17です。
エンジンは690ccLC4水冷単気筒エンジン。ボアストロークは102×84.5㎜はショートストロークな設計です。単気筒の為、ピークパワーは67馬力/7500回転とあまり伸びませんが、その分低速からしっかりと厚いトルクで加速がもたつくことは有りません。バランサーシャフトのおかげで独特な鼓動感はそのままに、不快な振動をかなり抑えこんでいます。インジェクションとスロットルの間はライド・バイ・ワイヤで電子制御され、大排気量単気筒という荒々しいエンジンを扱い易く仕立てています。また単気筒エンジンは構造上、シリンダーが一つしか無いですから、車体はスリムで細かいコーナーリングを要求されるワインディングでは強い味方です。クラッチにはスリッパークラッチが標準装備され、急激なシフトダウンでもホッピングからライダーを守ってくれます。
これだけ凝った内容の690 SMC R、価格も120万円と690ccとしてはかなりの高額です。ハイパワーモタードというやや玄人好みなカテゴリーということも有り、これに乗るのはかなりの通と言えるでしょう。