コラム

H2 SXはZX-14Rの代わりとなるのか?

こんにちは、MOSです。
今日はカワサキが誇るハイパワーバイク、H2 SXとZX-14Rについて記事を書きました。スポーツツアラーとして優秀なH2 SXの登場で、ZX-14Rも隼と同じく生産終了してしまうのでしょうか?

大排気量かスーパーチャージャーか

ZX-14Rと聞けば、誰もが巨大なメガスポーツを思い浮かべるでしょう。最高速で世界トップクラス、ドラッグレースにも愛用されるカワサキの誇る超大排気量バイクです。

対してH2 SXはカワサキがスーパーチャージドエンジンを元に作ったスポーツツアラーとして近年注目を集めています。

問題はメガスポーツであるZX-14Rは、スーパースポーツのZX-10R以上にツアラーとして購入するライダーが多いということです。カワサキ最強のツアラーを買うと考えたとき、ZX-14RかH2 SXかというのは複雑な問題になります。

最新鋭の装備を与えられたH2 SX

H2 SXはカワサキがH2に続くスーパーチャージャー搭載モデルの第2弾として製作したスポーツツアラーです。200馬力という近年のフルスペックを維持しつつ、H2に比べてツーリングやタンデムに使いやすいスポーツバイクとして開発されました。

H2に次ぐカワサキのフラッグシップシリーズということで、走りをアシストする装備は非常に豪華です。ZX-10Rなど同社のスーパースポーツで洗練された電子制御機能が、H2 SXにも引続き搭載されています。この辺りのライダーに対するサポート面でZX-14Rとは大きな差が存在します。

特にツーリングマシンとしてZX-14Rと比較すると、速度を維持するクルーズコントロールとシフトアップ・ダウンに対応したクイックシフターが搭載されたことが大きなトピックです。長距離走行におけるアクセル・クラッチ操作を大幅に簡略化することで、ライダーの疲労感を大きく低減しています。

装備の更新が滞っているZX-14R

ZX-14Rはお馴染みカワサキが誇るメガスポーツバイクです。

しかしライバルのスズキ 隼が生産終了に追い込まれた様に、このジャンルの将来というのは決して明るくは有りません。ホンダも既に撤退し、このメガスポーツというジャンルのバイクは国際的に見てもライバルが少ない状況に有ります。

H2 SXは新型の上に、価格もカワサキの中ではトップクラスに高価なバイクです。そのため最新装備はこれでもかと盛り込まれています。それに対して、既にベストセラーと言える領域に達しているZX-14Rはやや進歩が止まってしまった感が有ります。

同じZXシリーズの10Rには、電子制御サスペンションやローンチコントロールなど速く走るための最新鋭の装備がいち早く導入されているのに対し、トラクションコントロールこそ付いていますがZX-14Rの装備はカワサキを代表するバイクとしてはやや古さを隠せません。

パワーは同じ、でも出方が違う?

ZX-14RとH2 SXは同じ200馬力のバイクです。

しかし排気量はZX-14Rが1441cc、H2SXが998ccで、両者にはかなりの排気量の差が有ります。スーパーチャージャーで馬力とトルクを底上げしていますが、実は排気量だけを見るとZX-14Rの方がかなり大きいです。

乗り味として、排気量に勝るZX-14Rは低回転からのトルクに優れ、文字通りライダーを置き去りにするような力強い加速を見せます。大排気量を活かしたこの強烈なトルク感こそZX-14Rの魅力です。

対してH2 SXは回転が上昇し、過給が始まるに連れパワーが炸裂するタイプのエンジンです。同じ200馬力を得る為の回転数でH2 SXはより高い回転数を要求します。こちらの方が高回転志向の設計です。

同じ200馬力でもパワーの出方が少し違うというのがポイントです。

エンジンが小さい分H2は軽い

一方、999ccというより小さい4気筒エンジンをベースにしている分、H2はZX-14Rよりも軽く仕上がっています。

近年のカワサキは特にツーリングモデルにスーパースポーツ並のコーナーリング性能を付与したスポーツツアラーというジャンルに先鋭化する傾向が有り、H2 SXもツーリングを楽しめつつもあくまでスポーツバイクとして速さを忘れない作りをしています。

高速道路ではスーパーチャージャーで強烈に加速し、ワインディングに持ち込んでもコーナーはしっかり速い、そうした近年のスポーツバイクが持つ全方位的な速さを上手く体現したバイクがこのH2 SXと言えます。

個人的には今新車で購入するなら、ZX-14RよりH2 SXをおすすめしたいです。

今はH2 SXが強い、しかしZX-14Rの進化にも期待

H2 SXはやはり出たばかりの新型モデル、ということでエンジンやデザイン、先進装備の数々といったトータルな魅力でZX-14Rよりも1枚上手といった感じです。より少ない排気量で効率良く最大のパワーを得るという点でも、最新鋭のバイクと言えます。

価格こそZX-14Rに比べて高価ですが、正直このクラスを買う人は価格以上にスペシャルなバイクを求めている人達でしょう。

2006年に登場したZZR1400

ZX-14Rはやはり1000ccクラスのスーパースポーツを凌駕する大排気量エンジンを搭載したスポーツバイクということで個人的にも凄く評価の高い1台です。どの速度域でも強烈なトルクが自在の加速をもたらす、という体験はこのクラスの排気量でしか味わえない体験だからです。

その分、基本設計の古さが出てきてしまっているのは、少し気になるところです。カワサキはH2 SXをZX-14Rの後継機に育てたいという意図が有るようですが、個人的にはZX-14Rをフルモデルチェンジしてこのエンジンを継続させて欲しいと願わずにはいられません。