こんにちは、MOSです。
今日は耐溶剤性の感光乳剤、EX-353のレビューを書きます。油性インク用ということで購入する人は少ないかもしれませんが、高精度の製版には適した乳剤です。
耐溶剤性の感光乳剤
EX-353は過去に紹介したSD-40Rと同じ栗田科学研究所さんの感光乳剤です。
これまで紹介してきた乳剤と異なり、EX-353は耐溶剤性の感光乳剤になります。つまり、油性インク専用の感光乳剤です。
一応現像後の追い露光でしっかり固めれば水性インクにも使えないことは無いけど、本来は水では無く有機溶剤でインクを流すことを想定しています。
解像度が耐水性より高い
僕がEX-353に興味を持った最大の理由は、とにかく解像度の高い感光乳剤が欲しかったからです。細部が命の網点印刷をするとき、乳剤のスペックは非常に重要です。
そして耐水性と耐溶剤性、2つの乳剤を比較したとき、単純に後者の方が解像度が高い傾向に有ります。
これは栗田科学研究所から添付されたスペックシート。
最良解像度は30umで、SD-40Rの100umよりも数段高く設計されています。
想定される使用用途もEX-353は網点とはっきり明記されているので、より細かいディティールにこだわるなら、EX-353の方が良い結果を期待できるでしょう。
実際に同じ版を制作してみても、その差は一目瞭然。
髪の毛の様な細い線の集まりもくっきりはっきりのEX-353に比べると、SD-40Rの方が気持ち滲んでいます。
細かい線やエッジの綺麗さを重視する向きにはEX-353はかなり仕上がりに満足できると思います。
露光にパワーが必要かも?
EX-353は同じ出力だとSD-40Rなどに比べて2倍くらい固めるのに時間がかかりました。
また、弱い出力だと仕上がりにムラができやすい様です。露光の不足と過剰が同時に出るので、結構露光に気を使う乳剤と感じました。
できるだけ綺麗に仕上げる、ということなら100Wくらいの出力で早めにサッと露光する感じが良いと思います。出力が弱いとあまり綺麗な現像が出来ませんでした。
ライトの配置も、できるだけスクリーンに均等に紫外線が当たる様に調節する必要が有ります。
使い勝手は〇
現像時はシャワーの圧力で簡単に流れるので、極めて使いやすい乳剤です。
露光後のスクリーンへの食いつき性も良好で、露光がしっかりできると簡単には剥がれません。
そのため露光しすぎると落ちて欲しいところまで落ちなくなるので、事前にテスト露光してある程度適切な露光時間を確認しておく必要が有ります。
粘度はSD-40Rより少し粘度が高く、作業中の垂れも無く、均等に塗布しやすい作業性の良さが光ります。栗田化学研究所さんの感光乳剤は全体的に作業性は良いですね。
ただジアゾ以外に色素も混ぜる必要が有るため、小分けにして使うのはちょっと大変かもしれません。
価格はかなり高い…
EX-353の価格は900g5000円とSD-40Rの2倍くらいします。市販の感光乳剤としてはかなり高いほうです。
それに見合った性能を感じていますが、例えばロゴしか印刷しないという人には少しオーバースペックかもしれません。こういう人はSD-40Rの方がコストパフォーマンスは高そう。
個人的にはリピートしたいくらいの高い品質を感じましたが、それは写真製版など細部にこだわる人ほど感じやすいと思いました。