こんにちは、MOSです。
ナイケンをロングツアラー化していく前に、素のナイケンの走りを確認しておこうと思います。幸い、まだ外装カスタムだけで運動性能に直結するパーツは付けていないので、300kmの日帰りツーリングに繰り出すことにしました。
目次
愛知から静岡まで、フラッと温泉に入って帰るツーリング
今回は高速道路を利用しつつ、日帰りで約300kmを走行しました。ルートはザックリこんな感じです。
ナイケンで高速道路を走るのはこれが初めてですが、防風性の低さは最初から懸念材料だったため、「あまりに辛いようなら早めに目的地変更しよう」という気持ちでスタートしました。
ちなみに今回セレクトした子生まれ温泉は泉質が静岡県内でも非常に良い所で、おすすめです。
防風性能はネイキッド並
まず、ナイケンの高速巡航ですが、先述の通り直進安定性が高い割に防風性能は今ひとつです。ネイキッドよりは多少マシですが、アドベンチャーやフルカウルにはかなり見劣りします。
下半身は走行風をカバーしてくれますが、上半身に関しては胸から上は風が直撃してきます。ライダーが抵抗になって、タイヤのグリップ感も損なうので、この辺りはもうちょっと上手く処理して欲しいところ。
また正直言って下半身の防風性能はこのクラスのフルカウルなら割と簡単に達成できてしまうところなので、ナイケンが特別優れているわけではありません。
ただし排熱はそれほど当たらないので夏場に足が蒸し焼きにならないのは長所です。
この純正シールドはメーターを守るくらいしか効果が無いので高速道路を走るには全く役不足です。距離を伸ばそうとするなら、すぐにでも変えたいパーツですね。
後、グリップヒーターの効きも悪くなるので、ハンドガードは有った方が良いですね。特殊な位置のミラーが多少軽減してくれますが…。
自慢の3輪は直進安定性は良し
ナイケンはフロントに15インチのホイールが二つ付いているので、速度が増すと強力なジャイロ効果で前方向に対して高い安定性を生み出します。そのため、速度が上がるほど、車体は安定していきます。
その割に高速巡航の評価が高くならないのは、ライダーにかなり負担がかかる状態だからです。
3輪の段差の吸収性は一般に言われているほどでは無く、正直今ひとつです…。
同じヤマハでも例えばスーパーテネレやFJR1300ASで搭載されている様な電子制御サスペンションなら2輪でももっとしなやかに段差をいなしてくれますし、これらと同価格帯のナイケンが特筆して良いとは言えません。
どちらも価格はナイケンと同じかそれ以下であることを考えれば、ナイケンも電子制御化して欲しかった。
素の状態では風は当たるわ、衝撃は大きいわであまり乗り心地という点でうまくありません。
衝撃をライダーに伝えるシートに関しては、標準のナイケンでもそんなに悪く無いです。
適度なグリップやサポートも有り、形状は非常に良く出来ています。もう少し厚いと痛くなりにくいかも知れませんが、その辺りは好みですね。
エンジンはやや線が細いが非常にスポーティ
個人的にヤマハのこの3気筒エンジンは凄く気に入っていて、特にナイケンの仕様は下が粘る割に高回転まで綺麗に回ってくれます。フィーリングは非常にスポーティで、ライダーに高揚感を感じさせる良いエンジンです。
ナイケンは約250kgとMT-09やTRACER900に比べてかなり重いのですが、ゼロ発進でもエンスト知らずで良く調整されています。トルク感は少し弱く線が細く感じますが、国内の道路事情でパワーが不足するということはまず有りません。
エンジンに関しては、ナイケンは凄く良いんです。
UI周りはもう少し煮詰めて欲しいかも
ナイケンはヤマハの最新鋭機としてクルーズコントロールなどのライダーサポートの機能を数多く盛り込んでいます。クルーズコントロールはヤマハの他の車種と同様のシステムなのですが、操作感はこれもいまいちでした…。
動作を開始するスイッチと速度をセットするスイッチで、計2回の操作が必要なのは運転しながらでは少し面倒ですね。他社は起動とセットはスイッチ一つにしていますし、わざわざ2度押させるのはどうなのかな?という感じです。
動作自体、4速以上で一定速度を出していないといけないため、日本国内では実質高速道路専用の機能になります。
これも他社は全速度全ギアで起動を実現していますし、何故この仕様なのかな?と感じるところです。
このミドルクラスの排気量にクルーズコントロールを導入するのはヤマハはどちらかというと後発なので、使い勝手という点でもう少しUIを煮詰めていても良いんじゃないでしょうか。正直、今の時点では先行して導入してきたBMWなどに比べて使いづらさが目立ちます。
LMWが疲れないというのは半分本当
ナイケンに搭載されているLMW技術は3つのタイヤで車体を支持することで安定した走行を実現していると言われています。
ただ、ことナイケンに関して言えば、そこまでの領域には至っていないのかな、と感じました。例えば防風性能が低いのでライダーの首や肩には相応の疲れが生じますし、操作系の甘さからスロットル操作による手の疲れも目立ちます。
今回、ナイケンで300kmを走行しましたが、ナイケンでこれ以上はちょっと…というのが率直な感想です。
一応、都内からビーナスラインまでひとっ走りみたいな使い方を想定しているようですが、出来ないことは無いですけど、結構疲れてしまうと思います。
ただし低速ではフロントの安定感が強いため、他の大型バイクに比べてあまり気を使うことなく曲がることが出来ます。
アクセサリー類はもう少し改善して欲しい
ナイケンをスポーツバイクとして見たとき、余分な装備はほぼオプション扱いになっており、極力省かれた良いパッケージと見ることが出来ます。
一方、ツーリング用としては装備が不足し、カスタマイズが必須となります。
例えば純正でトップケースを付けようとすると、キャリアを追加購入するだけで3万円以上します。
スポーツバイクとしてはキャリアは無いのが、普通なんです。しかしツーリングバイクとして、純正トップケースの取付口を設けたキャリアを最初から付けてくれていれば、ユーザーとしてはトップケースを買うだけで済むわけです。
ナイケンの場合、余分な装備がカットされているので、グリップヒーターもETCも標準装備されていません。新車180万円からのバイクとしては少しパッケージが寂しいです。
R1の様な速さに振り切ったマシンはそれでもユーザーは納得してくれますが、ナイケンでは無理でしょう。何かしようとするとドンドン追加購入しないといけないのが痛いところです。
そうした快適装備を一定量盛り込んだナイケンGTは素のナイケンにプラス20万円します。
立ち位置が定まっていない感
LMWを搭載したスポーツバイクとして、ナイケンは最初の1台です。非常に画期的な一台ではあるのですが、その分このバイクの立ち位置はまだ定まっていないのかな、と強く感じました。
短距離ランナー的なスポーツバイクなのか、長距離をこなすツアラーなのか…今のところ、スポーツバイクよりのオールラウンダーといった仕上がりになっています。
今回、高速道路を早めに下りて少し峠も走ってみましたが、こうした自在のコーナーリングを要求されるところではナイケンは非常に元気に走ってくれます。君はネイキッドかモタードかなにかなのかな?
個人的には素のナイケンは60km/h前後の速度で下道ツーリングが最も適しているように思います。この位の速度域なら防風性能はあまり影響しませんし、LMWの安定感も活きてきます。
高速道路を多用すると各社のフラッグシップ級のツアラーに負けてしまう感じです。
個人的にはヤマハにはテネレの2気筒エンジンやFJRの4気筒が有るのだから、それらをベースにしたロングツアラーやアドベンチャーも出して欲しいというのが率直な感想です。
MT-09をベースに為つつ、幅広いニーズをカバーしようとすると突き抜けた魅力を出す時に限界が有る様な気がします。
ロングツアラー化は少し大変かも
LMWなど素性は良さそうですが、吊しの状態では今ひとつライダーに優しくない様です。
積載と防風に関してはパーツが有るのですぐに直せますが、最終的にどこまでの伸びしろが有るのか、若干不安になった日帰りツーリングでした。