ハイパーストラーダは名前の通り、ハイパーモタードの派生モデルでハイパーモタードとムルティストラーダの良いところを合わせた様なツーリングモデルです。
ハイパーストラーダ 2013-2015
外見はハイパーモタードにウインドスクリーンやパニアケースを追加することで、よりツーリングにおける快適性利便性を向上させたことが見て取れます。またハンドル高を20mm上げ、シートをローシート化することでハイパーモタードより40mm低い810mmに変更しています。ポジションが見直されたことで、乗車時の疲労感はより軽減する形となりました。
サスペンションはフロントにφ43の倒立フォークとリアにプリロード調整付きのモノショックを搭載しています。ブレーキは320mmのダブルディスクと、Brembo製ラジアルマウントモノブロック4ピストンキャリパーを用意して、オンロードにおける高い制動力を実現しました。リアには245mmのシングルディスクと2ピストンキャリパーで、ABSとトランクションコントロールを兼ねたDSP(Ducati Safety Pack)も合わせて安全性の高いブレーキとなっています。
またタイヤはハイパーモタードがピレリのディアブロロッソⅡを標準装備していたのに対し、ハイパーストラーダではムルティストラーダと同様のエンデューロタイヤ、スコーピオントレイルが装備されているのが特徴です。
エンジンは821cc水冷L型2気筒のテスタストレッタ11°。ボアストロークは88×67.5mm、圧縮比は12.8:1です。11°の名前はバルブオーバーラップ角を意味しており、従来よりやや小さめのオーバーラップ角は低速域の扱いやすさを増し、走行中の排ガスもよりクリーンになっています。
最高出力は110馬力/9250回転、最大トルクは9.7kg・m/7750回転で、ハイパーモタードと同等のスペックです。フューエルインジェクションはマニエッティ・マレリ製のものを使用しており、またドライブ・バイ・ワイヤ化されたスロットルは3種のライディングモードで制御されます。スポーツ、ツーリング、アーバンの3タイプから好みに合った出力特性を選ぶ仕組みです。クラッチには湿式のスリッパークラッチAPTCクラッチを装備したことで、過度のバックトルクからライダーを守ってくれます。
ハイパーストラーダ939 2016
2016年モデル以降、ヨーロッパの新しい排ガス規制ユーロ4に合わせるため、テスタストレッタ11°エンジンが937ccにボアアップされました。ボアが94mmに拡大され、圧縮比も13.1:1に高圧縮化する調整を受けています。国内仕様に関しては最大出力は108馬力/9000回転ですが、本国仕様は113馬力/9250回転に若干アップしています。また最大トルクは国内仕様も排気量に応じて上昇しており、9.7kg・m/7500回転となっています。
デザイン上の変更点は軽微ですが、フロントフェンダーやサイレンサーに若干の変化が見られます。車体に関しては、ホイールベースが5mm短い1485mmになった他、サスストローク量を減少させる方向でセッティングされています。また車両重量はこのモデルから210kgに増加しました。
大型のムルティストラーダ1200に比べればライダーの体格を選ばないミドルクラスのデュアルパーパスでしたが、新型のムルティストラーダ950の登場でハイパーモタードよりいち早くカタログから姿を消すこととなりました。