AJPの最上位モデルPR5は250ccと排気量も最大になっています。FIの採用等、諸々の装備が異なり、下位モデルとは一線を画す一台です。
PR5は、フラッグシップらしく唯一250ccクラスに設計されています。オフロードに適した低中速の力強さを重視するセッティングが行われています。見た目に大きな差異は有りませんが、シート高は940mmと欧州車らしい非常に高めになっています。AJPのラインナップの中でも最も高く、その為日本人の体格にはややマッチしづらいかもしれません。
ホイールはフロント21インチ、リア18インチのスポークホイールを採用しています。サスペンションはフロント側がザックス製の48φ倒立フォーク、リア側を同じくザックス製のモノショックとしています。前後のサスは調整式になっている為、走行シーンに合わせてセッティングしてやれば常に快適なライディングが楽しめます。なお、最上位のENTREMEグレードではフロントはマルゾッキの赤いフォークに変わります。マシン全体で赤が目立つ派手なカラーリングで、オフロードマシンらしい配色ですね。ブレーキはフロント260mm、リア220mmのシングルディスク仕様。モタードモデルは基本的なスペックは共通ですが、前後17インチのホイールにオンロードタイヤを装着しています。
エンジンは249cc4ストローク水冷単気筒。単気筒らしくトトトとリズミカルなサウンドで、回転の上昇に合わせ乾いた音を聞かせてくれます。ボアストロークは77mm×53.6mm。最大出力は27.5馬力/8000回転と、PR3やPR4に比べると大幅にパワーアップしており、この数字なら同クラスのライバル達と比較しても遜色無い性能と言えます。最大トルクも2.34kg-m/7000回転と、これも十分な数字です。燃料供給もDelphiのFIを搭載し、高地に持ち込んでも安定した性能を発揮してくれます。トランスミッションは6速MT。フレームはアルミとスチールを組み合わせたクレードルフレームで、赤くペイントされスポーティな雰囲気を醸しだしています。ホイールベースも1460mmと最も大きく、大人でも小さく感じないフルサイズのバイクです。燃料タンクは7.5Lと気持ち大型化され、航続距離を長くしています。車重は123kgで、依然としてAJPらしい軽量さは残っています。パッケージの完成度は高く、日本国内で乗るにも制約の少ない排気量ですから、面白い一台といえそうです。