VYRUS製スーパースポーツ、VYRUS 986 M2。独特なシャーシに、Moto2規格に合わせた599ccエンジンを搭載したミドルクラスSSです。レースで戦うことを前提にしたマシンなので、サーキットでは極めて高い戦闘力を持っています。
ハブセンターステアリングのミドルSS
カウルはレーシングマシンらしく風洞実験を繰り返し空気抵抗を削減、最高速の向上に寄与しています。タンクもしっかりと体を支えられる様に後ろを大きく突き出していますね。シートはスポーツ走行向けにかなり薄い物となっています。
ハブセンターステアリングの為、他のSSが採用している様な正立フォーク、あるいは倒立フォークは存在しません。赤いロッドが見えますが、これを介してフロントホイールハブ周辺が動く仕組みです。前後のホイールはスイングアームによって支持されており、ノーズダイブが抑えられることで、サーキット走行時の高負荷の中でも安定したコーナーリングを行うことが可能です。シャーシ側に設けられたサスペンションはYSS製となっています。
ブレーキは、フロント側に320mmのダブルディスクとトキコのキャリパー。リア側に220mmのシングルディスクとBremboのキャリパーを装着します。ホイールは10本スポークのアルミキャストホイールで、高い剛性を確保しつつ軽く仕上げています。タイヤは120/70-17、180/55-17となっています。
エンジンはMoto2参戦用にCBR600RRの599cc水冷直列4気筒を使用しています。ホンダ製の高回転型エンジンは125馬力を13000回転にて発生させます。ボアストロークは67×42.5mm、圧縮比12.2:1です。SSですが、シート下のスペースにはあまりカバーは無く、露出が激しくなっていきます。エンジン下にラジエーター等、ハブセンターステアリングらしく、やや特異な雰囲気です。
VYRUS 986 M2はMoto2規格のマシンとしても販売されており、レース仕様は600万円オーバーで販売されています。実際のレースシーンでの戦闘力はさておき、Moto2マシンを買えると考えるとかなり安めではないでしょうか。公道仕様ならその半額といったところです。また、エンジン抜きにしたキットモデルも販売されており、自分でエンジンを用意できる方ならそちらの方がかなり安く購入することが出来ます。ミドルクラスのSSとしてはかなり高価な部類ですが、競技用車両と考えるとそこまでと感じるかもしれません。多くのライダーには中々縁の無いマシンですが、ハブセンターステアリングに興味が有るなら一度は乗ってみたいバイクです。