SBKのホモロゲーションモデルとして設定されているPanigale R。レース直系モデルとして、ファンなら誰もが憧れるスーパースポーツの一台です。
SBKを戦うドゥカティの旗艦モデル
パニガーレRは1199ccと、同社ラインナップの1299パニガーレよりも下の排気量ですが、ホモロゲーションモデルということで非常にコストのかかったバイクに仕上がっており、排気量が下でも価格は1.5倍という一種の逆転現象を起こしています。400万円というプライスは現行車の中でも屈指のプライスですね。何故こういうことが起きるかというと、SBK(スーパーバイク選手権)のレギュレーションで2気筒の排気量は1200ccと規定されているからです。
スタイリングのポイントとしてはフェンダーを始め、ボディが軽いカーボンパーツに置き換えられており、車両重量184kgの軽量仕様に設計されています。1299と比較しても数段軽いことが特徴です。またレースシーンでの高い最高速に対応する為、1299に比べてわずかにホイールベースを延長しています。フロントフォークはチタンコートされたオーリンズのNIX30、フロントブレーキは330mmのダブルフローティングディスクにBremboのM50モノブロックキャリパーを合わせています。
リアサスペンションも同じくオーリンズでTTX36を装備します。こちらからでは見辛いですが、リアサスは車体左側に寄せて装着される設計です。一般的にリアサスペンションの収まる位置にとぐろを巻いたエキゾーストパイプが存在する為、このレイアウトになっています。リアブレーキは245mmのシングルディスクに2ピストンキャリパーのセットです。ホイールは軽量アルミの17インチ3本スポークのキャストホイールを使用しています。当たり前かもしれませんが、PanigaleRはシングルシートの為、後部座席は存在せず、乗車定員は1名です。
エンジンは1198ccのスーパークアドロエンジン。ドゥカティらしいL型水冷2気筒を搭載します。ボアストロークは112×60.8mmと、ボアに対してストロークが異常に短いショートストロークな設計です。本国仕様では205馬力/10500回転と、非常にハイパワーに設計されています。ただこのままで日本国内の規制に対応するのは難しかったのか、国内仕様は70馬力/5100回転と大幅にパワーをカットされました。流石にこのクラスで70馬力ではオーナーとしては少々寂しい話ですね。
ゴールドのマグネシウム製エンジンカバーは、真紅のカウルとの相性も抜群です。バルブやマフラー等チタン材も豊富に使用されています。スプリングに頼らず、機械的にバルブを開け閉めするデスモドロミックシステムのおかげで、高回転のバルブサージングは発生せず、2気筒でも各社4気筒並のパワーを獲得しています。一方、走行距離が長くなるとバルブタイミングのメンテナンスが必要になる精密機械ですから、常に最高の状態を保つには注意が必要です。
燃料の供給は三菱製のFIを使用しますが、スロットルは電子制御のドライブ・バイ・ワイヤになっており、ライダーの操作とECUの演算で出力特性を変化させます。シフトアップ・ダウンでライダーの操作を簡略化するDQS(Ducati Quick Shift)、急加速時のウィリーを抑制するDWC(Ducati Wheelie Control)と言ったサーキットシーンでのアシスト機能も豊富に盛り込まれ、タイムアップをサポートしてくれます。