日本においてQUADROシリーズの知名度を高めたのは、やはりこのQUADRO4の貢献度が大きいでしょう。オートバイとしては異例のタイヤが4個付いてる大迫力のマキシスクーターです。
QUADRO4 2014-
QUADRO4の開発コンセプトは、世界最初のコンパクトSUV(SAFE UTILITY VEHICLE)となっています。SAFEと付く様に、独特な車体を駆使してより安全にライディングを楽しむことを狙いにしています。ちなみに自動車のSUV(SPORT UTILITY VEHICLE)とは若干意味合いが異なるのでご注意ください。
4つのホイールは路面環境や天候に左右されず、2輪車のフィーリングも適度に楽しめる様に工夫されています。また安定性の高さから、女性ライダーにも十分扱うことが可能です。
車体サイズは全長×全幅×全高が2200mm×800mm×1360mm、ホイールベースは1580mmに設計されています。車両重量は281kgで、全バイク中でも間違いなく重量級です。また特殊な車体構成のため、シート高はスクーターとしては高めの840mmです。
スタイリングはあくまでスクーターのため、慣例通りシート下にはフルフェイスヘルメットが収まる収納スペースが用意されています。また電源インレットはシート下とフロントのグローブボックスの2カ所に配置されているため、モバイル端末を多数携行する旅行にも最適です。
サスペンションはQUADRO3で前輪のみ搭載されていたHTS(Hydraulic Tilting System)を前後に装備しました。バンク時や凹凸の路面では、各サスペンションがその差を上手く吸収し、高いトラクション性能を発揮します。
ブレーキは4つのホイール全てに240mmのディスクブレーキが装備されています。QUADRO3同様、右レバーがフロントブレーキ、左レバーとフットペダルが四輪に作用するインテリジェントブレーキになっています。ホイールは前後14インチ。タイヤサイズは全て110/80-14です。
エンジンはQUADRO3同様の346cc水冷単気筒。ボアストロークは82mm×65.6mm、バルブ周りもSOHCでこの辺りのスペックは共通しています。最高出力は31馬力/7500回転、最大トルクは3.54kg・m/5500回転で、こちらの方がややハイパワーな仕様になっているのが特徴です。
車体が重いことも有り、燃費はバイクとしてはあまり良くないです。カタログスペック上ではWMTCモードで4.7km/Lとされています。これは400ccクラスとしては明らかに平均を下回ってはいます。燃料タンクが14Lということを加味しても、ちょっとロングツーリングには使い辛そうな数値ですね。
価格は現地で10200ユーロほど、日本円にすると130万円くらいになります。やはりそれなりに高額なマシンですが、唯一無二なスタイルですし、二輪に無い安定感は魅力的です。
最後にQUADRO4のプロモーション映像がこちら。HTSが路面にあわせてダイナミックに動く様子が記録されています。また四輪の安定性やトラクション性能を活かしたオフロード走行も披露しています。
QUADRO4 STEINBOCK 2017-
元々QUADRO4はその高い安定性からウェットな路面や凹凸の激しいオフロードもいけるという売り出し方をされていましたが、よりタフに仕上げたアドベンチャー仕様が追加されました。STEINBOCKはQUADRO4にヘッドライトガードやフォグランプといった追加装備に加え、タイヤ銘柄も土や小石の上でのグリップ力を重視したものに換装されています。
ちなみにQUADROはこれ以前にもQUADRO4のオフロード仕様のコンセプトモデルを制作・公開しています。Big Qと名付けられたこれがそうで、都会的なQUADRO4を軍用車の様なタフなボディに作り変えたものです。エンジンもこちらは630ccに排気量アップし、走破性を高めています。STEINBOCKにもこの独特な外観はかなり残されていますね。ただホイールやタイヤのヘビーデューティ感、高出力なエンジンを流石に全部引き継ぐのは難しかった様です。