BMWから販売されたスーパースポーツS1000RR。独特なフェイスデザインと4気筒の採用でBMWの伝統を覆したことで、多くのライダーの心を掴んだバイクです。技術的なバックボーンに関してはどこよりも間違いないメーカーが作ったモンスターマシンです。
ハイテク技術の見本市の様なパッケージ
S1000RRのスタイリングといえば特徴的なこのヘッドライト。2眼でも左右のライト形状の異なるユニークな顔をしています。切れ長なライトと丸みを帯びたライトを組み合わせることでインパクトの強い見た目を作っています。そのライトの間にラムエアのダクトが開けられています。ちなみにトム・クルーズの映画で使われたのは左側が丸い前モデルですね。
電子制御は以前よりてんこ盛りの状態でしたが、具体的にはクラッチ操作無しでシフトアップ・ダウンに対応したクイックシフター等がサーキットでのタイムアップには強いアイテムです。従来のクラッチを使用したシフトよりも機械制御で格段に速く、またライダーなら誰もが体感しているはずのトラクションが切れた状態での不安定感が大幅に低減します。基本的に2輪車は後輪にエンジンパワーがかかっている方が安定するので、リッタークラスの重量級バイクに慣れていない方にも嬉しい装備です。
アクセルは電子制御のライド・バイ・ワイヤー方式になっており、ラフな操作を行ってもECU側が適度なアクセル開度に補正してくれます。エンジン出力をECUで制御している為、DTC(Dynamic Traction Control)やASC(Automatic Stability Control)と連動して走行中の姿勢を制御する仕組みです。ABSセンサーで計測した前後輪のデータを基に最適なグリップ力を調整すると同時に、後輪がスライドを始めた時はエンジン出力を抑えてグリップを回復してくれます。おかげでこれだけパワーが出ていてもライダーは安心して加速・減速の操作に集中することが出来ます。
側面を見てみると、実はサイドカウルも左右で形状が違うという拘り様です。S1000RRエンジンは有名なフラットツインでは深いバンク角に対応出来ないので、スーパースポーツのスタンダードである999cc水冷並列4気筒を搭載しています。前モデルから6馬力アップし199馬力/13500回転となっています。このモデルから国内仕様もフルパワーになり、この数字で購入することが出来る様になりました。
足回りのセミアクティブサスペンションDDC(Dynamic Damping Control)は特性の違う各路面に合わせた減衰力に自動調整するという、車体側の懐を広くする足回りです。シート下のセンサーがバンク角やピッチング等のデータを拾い、走行中の路面状況を判断します。
スーパースポーツらしく非常に強力なエンジンを積んでいるわけですが、プロライダーでなくてもそれをコントロール出来る最新技術で良く調教された駿馬です。