フルカウルのCBR650FとネイキッドのCB650F。同じ車体とエンジンでスタイリングの異なるこの2台。ホンダでは「Just Fight」と表現していますが、多くのライダーに扱い切れる丁度良さを提案するモデルです。
CB650F / CBR650F 2014-
フレームは楕円断面のツインチューブフレームを採用し、誰が乗っても扱い易さを感じる様なコンパクトな車体を形成しています。スイングアームの形状も非常に美しく、角材が使用されることも有るこのクラスで、良く採用してくれたと思う見事なものが装備されています。エンジンはホンダらしい高回転の気持ち良さと低中回転の扱い易さを狙って設計されているとのこと。高回転のパワーは最高の4気筒ですが、低速のトルクは細くなる傾向に有るので、全域で使いやすさを出せるのは流石エンジンのホンダです。搭載されているRC83Eの最大馬力は83馬力/9500回転と排気量を考えても十分過ぎるスペックをしています。排気量的には若干上とはいえ、国内仕様ではCBR600RRよりCB650Fの方がパワーが出ているというのはちょっと驚きですね。その上燃費面でも31.5km/Lとこちらが若干勝っています。街乗りでの扱い易さを求められるネイキッドバイクの為、回転数は4気筒としては控えめです。足回りにはダブルディスクのブレーキと17インチのアルミ製キャストホイールが奢られています。細いフィンが風車状に広がる凝ったデザインです。
迫力有るフルカウルのCBR650F
まずはフルカウルのCBR650Fから。UK仕様のこのカラーはフレームの赤が非常に映える良いカラーリングです。フルカウルの装備に合わせ、ハンドルをセパレート化し、やや前傾寄りのポジションとしています。カウルの高い防風性も有り、高速巡航に適したスタイルです。V字の単眼ライトが独特な重厚感を演出しています。名称のFからも察する通り、過激なスポーツバイクというよりは扱い易さを重視したスポーツツアラーという表現が適切です。しかし独特なダウンショートマフラー等各パーツの位置関係の調整、搭乗するライダーの着座位置も極力車体中心に寄せる等、マスの集中化は徹底的に行われ、ワインディングでも十分な運動性能を発揮します。
価格は約100万円、NC750S辺りよりも数段上の価格です。ライバルのNinja650に比べてもやや高いですが、ホンダのバイクの中でも随所に強いこだわりを感じるモデルですから、こちらも捨て難いところです。
造形の美しさを楽しめるCB650F
CB650Fの方はカウルが外され、ネイキッドスタイルとなっています。これもUK仕様ですが、前後でホイールの色も異なる、ストリートモデルらしい遊び心の有るカラーです。CBR650Fという兄弟がいるので、これもストリートファイターと呼んで差し支えないと思います。バーハンドル化されたことでややアップライトなポジションになりました。シート高は変わっていませんが、明らかにハンドル位置が高くなっており、ライダーの負担は少なそうです。軽快なハンドリングという点ではこちらに分が有りそうです。またカウルが無くなったことで、4気筒エンジンから流れる様に伸びるエキゾーストパイプを見ることが出来るのもCB650Fの特徴ですね。
価格的にはCB650Fは約93万円とCBRより気持ち抑えられています。それでも販売計画台数はCBR650Fが700台に対し、CB650Fが300台と半分以下の数字ですから、国内ではやはり従来のネイキッドスタイルの方が受けるということなのでしょうか。