今回は現行125ccSS屈指の出来のRS4の紹介です。4ストローク化で先代よりもパワーダウンする形となりましたが、シャーシ等は再設計され、現代のマシンとして相応しい走行性能を達成しました。また、フラッグシップのRSV4譲りのスタイリングで、デザイン面でも競合にひけを取りません。
50ccから始まるスーパースポーツ
RS4は2ストローク50ccエンジンを積んだモデルと、4ストローク125ccのモデルが選択することが出来ます。まず50ccの方ですが、ボアストローク比が39.86×40mmとスクエア寄りのロングストロークエンジンです。ホンダのNSR50やヤマハのTZM50Rが新車のラインナップから外れている21世紀の世界では、「新車で買える」2ストロークの50ccSSというのは妙な魅力の有る一台です(ヨーロッパではヤマハのTZR50は健在)
馬力は公式で秘匿されていますが、先代が実測約5馬力、そこから更に落ちているそうです。これは排ガスや騒音規制上やむを得ないポイントですね。しかし2ストロークということで、チューニング次第では伸び代が有るのも事実です。50ccなので国内では法規制上、あまり一般道でスピードを出すことは出来ませんが、手を入れていけば刺激的に化ける可能性も…。ただし車両本体の価格が高く、トータルのコスト面で結局もっと速いバイク替えたかも、ということになりかねませんから注意して下さい。
フレームは125ccと共通の為、エンジンパワーを受け止めるには十分ですから、走行中の剛性感は抜群です。色々な所は125ccと共通しつつ、10kg以上軽いため、コーナーリングはこちらも負けず劣らず楽しめます。カウルのデザインはリッターSSのRSV4とそっくりに作られており、小型バイクと言えど安っぽさは有りません。リアシートやタンクの造形も非常に凝っています。小さなスーパースポーツとして非常に丁寧に作られたモデルです。
普通自動車免許でSSに乗れる点等も考慮すると、何かと遊びやすいバイクといえます。価格は新車で約50万円とやや高いかもしれません。しかし独特な魅力を持っていることは間違い有りません。
125cc版は15馬力と規制一杯のパワー
現在ヨーロッパの免許制度上、125ccは市販状態で15馬力までに設定されています。これはアプリリア以外でもそうで、チューニングして上げていくのはまた別問題ですが、基本的に15馬力と横並びの状態です。
50ccと異なり、こちらは4ストロークエンジンを搭載しています。ボアストローク比は58×47mmとショートストロークに設計されています。基本的にはショートストローク仕様の方が高回転まで回しやすく、RS4 125も高回転まで良く回る元気の良さを持っています。125cc単気筒ならフルに回しても振動は排気量なりで不快感は少ないです。また125cc仕様ではオプションでクイックシフターを搭載することが出来、アクセル全開のままシフトアップが可能です。エンジンパワーの低い小排気量のレースではわずかなロスを徹底的に削っていくことになりますから、速さを競うならこれは有効なオプションパーツです。
足回りはどちらも41mm径の倒立フォークに、リアはモノショックとスチール製の左右非対称のスイングアームを組み合わせています。特にフロントブレーキには4ピストンのラジアルマウントブレーキキャリパーと、125ccとは思えない様な装備が奢られています。ホイールもバネ下重量の低減の為にアルミニウム製としており、低排気量らしからぬ装備の数々です。シート高820mmと高めですが、幅が細い為、乗ってしまえばそこまで辛くはないかなと思います。むしろ125ccのSSはどれもハンドル高が低く、前傾姿勢の辛さを感じるかもしれません。
125cc版はこのSBKカラーで55万円と、125ccSSの割にはお手頃な価格設定をしています。アプリリアはスーパーバイクで行われる最高峰レースのSBKに特に力を入れており、125ccの小型バイクにもワークスカラーをイメージしたカラーリングが為されています。デザイン的にも非常に秀逸なモデルです。競合はYZF-R125やRC125辺りですが、それらと比べれば多少安めですね。先程「125ccの割には」と書きましたが、このクラスはどれも本格派な装備をしており、250ccが普通に視野に入ってくる価格をしています。その為、この割り切ったスポーツ性に興味の無い方には、高いだけのバイクになってしまいます。装備面を考えると適正な価格なのですが、高速道路にも乗れませんし、メインのバイクとしては不便な部分が有るのも事実です。最高品質の小型バイクが欲しいという方にはこのクラスのSSは面白いと思います。