BMWのラインナップの中でも、よりオフロードの走破性を意識したF 800 GS。最新モデルらしくオンオフどちらでも高いパフォーマンスを発揮しますが、これは特にオフロードで酷使されることを想定してメーカーも作りこんでいます。未舗装路主体のツーリングを想定される方には心強い味方ですね。
代えのきかないスポーツモデル
F 800 GSは同社のF 700 GSと同じエンジンを使用しています。スペック的には更に高回転化させ10馬力追加、85馬力にパワーアップさせました。224kgという車体はオフロードバイクとしてはかなり重量級な部類で、道の無い森林をすり抜けていく軽量なオフロード車が得意とするスタイルより、フラットダートを猛スピードで走破する戦車の様な使い方の方が向いているでしょう。大排気量のエンジンパワーを不安定な路面に余すことなく叩きつけて加速する姿がF 800 GSのスタイルです。
シート高は820mmから850mmと700比でやや高めに設定されています。純正でローダウンされてこの数字です。実車に跨ってみると、F700GSなら足が着いてもF800GSは着かない、という方は多いと思います。勿論シートを上げる事はオフロードにおける走破性・安全性を高める効果が有りますが、180cm程度の身長が無いと難しいです。
加えてF 800 GSにはadventure仕様が設定されており、こちらは大型スクリーンによる防風性の強化、24Lの大型タンクによる航続距離の拡大、キャリアの追加による積載性の向上が図られています。長距離の旅行等にも使いたい方にはアドベンチャーモデルもおすすめです。
2016年モデルでは、ラジエーターカバーの亜鉛メッキ化、シートの2トーン化等デザインのアップデートが行われました。
実質的な兄弟のF 700 GSと相違点は、こちらはフロントが21インチのスポークホイールに換装され、よりオフロード色を強められているのが特徴です。スポークホイールを採用したことで路面からの入力をホイールでも吸収することが出来、荒れた道を走行しても不快感をライダーに与えません。オフロード車らしい大径の倒立フォークも魅力の一つです。このフォークの変化だけでフロントのイメージが大分異なり、重厚感を演出しています。スクリーンはF 800 GSの方がわずかに大型の物を採用しました。
F 800 GSはオンもこなすがあくまでビッグオフロードという立ち位置で、未舗装路での基本性能も非常に高く、スリップし易い路面では大型バイクらしいハイテクな電子制御が巧みに介入し、ライダーとバイクを前に押し進めます。高価な大型バイクではオフロードバイクと言えど、ユーザー側ではマルチな路面を走らせるツアラー的な使い方が意識される為、オンオフの両立が求められますが、そうした中でオフロードに重点を置いたモデルというのは貴重ですね。
またBMWではGS TROPHYと冠してオフロードイベントを世界各地で順次開催しています。その土地の天然の悪路だけでなく、人口の障害物も走り抜けないといけない、ライディング以外の要素も多々有り、非常にタフなイベントです。日本でも執り行われており、F 800 GSはそこへ挑むには最適な素材です。超人気モデルのR 1200 GSで参加されている方も多いですが、F 800 GS のコンパクトなサイズ感も悪路では魅力です。ちなみに2016年の福島大会は今週末でした。
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