250ccクラスで個性の強いモデルを揃えているカワサキですが、Z250SLはその近代的なスタイリングで、兄弟のZ250にも負けない迫力を持っています。今主流の異形ライトを備えたネイキッドバイクが欲しい人にはデザインで攻めているカワサキはとても魅力的なメーカーと言えるでしょう。
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SL(SuperLight)のコンセプト通りのパッケージ
カワサキには既にZ250という同様のスタイルのバイクが有りましたが、Z250SLは更に軽く仕上げて軽快感を出すことに重点を置いて開発されました。その結果、Z250比で22kgのダイエットに達成、148kgとオフロード車に近い車両重量を実現しています。軽さがハンドリングにもたらすメリットは計り知れず、免許取立てのライダーでも取り回ししやすくなる他、燃費の向上等お財布にも優しい車両になります。
カワサキのZシリーズは街乗りの快適性を考慮したネイキッドバイクとして設計されていますが、その中でもZ250SLはエンジンの付いた自転車と表現出来るほど軽快な乗り心地に仕上がっています。
エンジンパワーも普段から気軽に回せる扱いやすい数字で、自由自在に乗り回すことの出来る1台です。搭載された249cc水冷単気筒はアクセルレスポンスも良く仕上がっているので、29馬力を思い通りに扱ったライディングが楽しめます。
デザイン面ではスタイリッシュな単眼ライトを採用した他、細く入り組んだ鋼管フレームが剥き出しになっており、2016年現在の流行のスタイルを踏襲しています。跨ってみると、タンクや車体そのものはかなり細めに設計され、全体的にスリムな設計です。小柄な体格のライダーでも乗車時に一体感を感じることの出来るコンパクトさを持っています。
軽快さを演出するショートホイールベース感
乗り出すとZ250SLはフロントが非常に軽いことに気づきます。フロントとリアのタイヤの幅がZ250やNinja250に比べるとワンサイズ細く、その為右へ左へ自在に方向転換が可能です。モタードのD-TRACKERよりも細く、このタイヤの細さがZ250SLの独特な操舵感覚を生み出しています。乗車中のタイヤの設置感がやや細いのが特徴です。
またZ250に比べるとホイールベースが80mm短くなっています。その為にブレーキング時等はフロントタイヤを非常に自分の近くに感じます。これはより小型のZ125PROに近い乗車感で、曲がり角ではとにかくスイスイ曲がります。路地裏の様な小回りを求められるシチュエーションでも余裕でこなす乗り易さです。その代わりとして、直進安定性はやや犠牲になっており、高速道路を長時間走行するのは疲労が大きそうでした。
ポジションはNinjaよりかなり楽
シート高には数値的な大差は有りませんが、Ninja250SLからバーハンドル化されたことで気持ちアップライトなポジションに修正されています。その為、Ninja250SLで強調されていた前傾姿勢はマイルドになり、よりバランスの取れた形で乗車することが可能です。ただし、それでもNinja250やMT-25等に比べると前傾姿勢としては強めになっています。
バーハンドル化したことで乗車中の腰から上の負担は大分軽減されましたし、体が起きたことで体に伝わるエンジンの振動も少しマイルドになりました。Ninja250SLは回すとギャンギャンうるさいのが難点でしたが、Z250SLは高回転型エンジンの良いフィールのみを感じることが出来ます。フィーリングとしてはこちらの方が良い意味で角を落とされており、楽しくなっていました。Ninja250SLはちょっときついかも…という方にはZ250SLにも一度乗ってみることをおすすめします。
Z250SLはスクリーンが無い為、走行風はライダーにモロに当たってしまいます。今の所気の利いたスクリーンが販売されておらず、下道オンリーでもロングツーリングではそれなりに疲れてくるかもしれません。
エンジンはレスポンス良く、上まで綺麗に回る
ベースとなったKLXのエンジンに比べ、Z250SLに搭載されたエンジンは気持ち高回転に対応する様にチューニングされています。元々良く回ることに定評の有ったエンジンですが、レッドゾーンは高めの設定です。アイドリングから発進まではトトトトと比較的大人しいフィーリングをしていますが、そこからピークパワーを発生させる9700回転までスムーズに回っていきます。ラフな振動は少なく、回転数に応じてパワーが上がっていく感じです。
低速トルクも十分な力強さが有り、信号発進と同時にアクセルを大きめに開けるとフロントがすぐ浮いてくる程のパワーを発生させます。車体のフロントが軽く、特にZ250SLはバーハンドル化でフロント荷重がかけにくくなっていますから急発進は注意が必要です。