MT-07はMTシリーズの丁度中間に当たるミドルクラスのバイクです。大型バイクというと超ビッグパワーのモンスターマシンがクローズアップされがちですが、MT-07は軽量コンパクトが身上のモデルとなります。250ccバイクの様な取り回しの良さを持ち、気負わず扱える等身大スポーツバイクという言葉がピッタリなバイクです。
初めての大型でも安心
普段中型バイク派の私が跨ってもMT-07の車体は全く違和感が有りません。MT-07の車体は非常にコンパクトかつフレンドリーに設計されています。全長や全幅のサイズが250ccのMT-25とほぼ一緒なので、初めての大型バイクという方でもあまり違和感無く乗って頂けるのは、この辺りのサイズ感が大きな理由だと思います。MT-07は軽量さを謳ったバイクですが、メーカーの狙い通りに扱い易さの面ではとても良く出来ていると思います。最初の交差点をぐいっと曲がった段階でも旋回に苦労が要らないのがおわかり頂けるはずです。MT-09と比較しても圧倒的にこっちの方が取り回しがし易くなっています。688ccのミドルクラスの排気量ですが、自由自在に操れる感覚は非常に高いです。ただし排気量なりにパワーは少し下がりますが…。250ccクラスの乗り心地をそのままにパワーだけアップした感じですから、アクセルワークさえ間違えなければ非常に軽快かつ俊敏な動きを見せてくれます。ワインディングの様に平均速度が50kmくらいの道ではこの扱い易さが光りそうです。
もう一つ排気量が上のMT-09に比べると足付きもべったり、重量も軽いために圧倒的に大型初心者に優しくなっています。特に足付きに関しては女性でも問題無いほど良好な足付き性です。シート高805mmですが、意外な程両足の踵までしっかりと地に着きます。
荒ぶる2気筒の力強さ
MT-07のエンジンは並列2気筒、いわゆるパラツインエンジンです。クロスプレーンコンセプトに基づき、270度位相クランクを採用していますが、跨ってエンジンを始動させた時の第一印象としては、結構下から突き上げてくる暴れるエンジンだな、と感じました。MT-09のスムーズなエンジンと比較しても、このエンジンは独特のごつい振動が伝わってくるので、回した時の迫力に優れています。MTシリーズが重視する地を蹴るトルク感を存分に堪能して頂けると思います。
一方、多気筒エンジンのメリットである静粛性を重視される方には少しうるさすぎるかもしれません。主張の強いエンジンという点では、やや好みが分かれそうです。トレーサーの様な長距離運用を目的としたモデルに向いているのは間違い無くMT-09のエンジンの方です。
ポジションは比較的ゆったり
ポジションはネイキッドらしいゆったりとしたポジションです。この日の乗車モデルは大振りのミドルスクリーンが装着されていましたが、遠方へのツーリングに使うなら、出来ればこの位のスクリーンが欲しい所です。肩口くらいまでの走行風をカットしてくれます。MT-07のスタイリングを重視される方は、もう少し小振りのフライスクリーンという手も有ります。ステップの位置ですが、これがイマイチ私の体型に合わず、停車中に足を地に着けるとステップに丁度干渉する妙な位置でした。こんな経験は過去乗ってきたバイクの中でもMT-07くらいだったのですが、私が購入するならステップ位置はずらしたい所です。
長距離派にも嬉しいトレーサーモデルも登場
MT-07はあくまでネイキッドのため、カウル付きのモデルに比べるとやはり長距離運転時の疲労が気になります。というわけで、2016年、晴れてマルチパーパス仕様のトレーサーが追加されました。
単眼ライトは特徴的な2眼ライトに変更、スクリーンやハンドルガードも兄貴分のMT-09 Tracer同様に防風性を考えられた大型の物が付けられています。上の様なサイドバッグを搭載して宿泊有りの旅行に出かけるにはうってつけのモデルとなっています。