前回フラッグシップのエボリューションが非常にクオリティが高かったので、エントリークラスのスタンダードも比較用に購入してみました。価格は半分以下になりますが、こちらの実力はいかがなものでしょうか?
これがサウンドテック2スタンダードだ!
スピーカーの外径は前回のエボリューションと同じになります。並べてみると全く差がわかりません。背面のバスレフポートが上位モデルは4つ開けられていることに対し、スタンダードは1つというのが差別化要素です。単純にバスレフポートの口径が広ければ低音が出るというわけでは無いですが、少なくとも上位モデルはスタンダードよりは期待できるとメーカーは言いたいのでしょう。ただしヘルメットに装着して、低音がスピーカー前面まで回り込んでくる過程が人それぞれで異なることを考えると、ヘルメットとセットで設計しない限り低域の特性はあまり追求しない方が良いのかな、と思いました。ちなみに再生可能周波数特性は20~20kHzとCD音源の周波数はほぼカバーしています。
スピーカーユニットも、上位モデルがチタンメッキされているのに対し、これは無処理のPETフィルムです。この辺り、最終的な音質にどの様な差となって出てくるのか楽しみですね。
付属品は、巻取り式ケーブルがこのモデルでも付いてきますが、ボリュームコントローラーがオミットされています。正直に言ってあまり活躍の機会が無い機能なので、これは大きな支障は無いでしょう。
設置の時に気になる奥行きですが、1mmだけスタンダードの方が短くなっています。この1mmがタイトなヘルメット内部では意外に効いてくるかもしれません。
取り付け方法は全モデル共通
寸法はエボリューションと変わらないので、前回のスピーカー貼り付けの為に設置したマジックテープがそのまま流用できます。ということは、サウンドテック内でアップデートするのは簡単ということになります。スピーカーのコードも大差が無く、交換作業は恐ろしくあっさりと終わりました。個人的に次のアップデートではもう少し配線を太くして欲しいところ…ちょっと断線が心配です。
また、取り付けに使うマジックテープの吸着力はかなり強く、何度も剥がしていくとスピーカーを包んでいるネット部分に負担がかかり、徐々に破れてくる可能性が有ります。そんなに頻繁に外すアイテムでは無いと思いますが、夏場の洗濯の際などにはご注意頂いた方が破損を防げるでしょう。
早速聞いてみた
スタンダードも、エボリューションと同じくかなりきついドンシャリ傾向です。これはバイク走行中に高音と低音がマスクされてしまうのでこの様なバランスになっています。快適に試聴できるのはヘルメットの遮音性次第ですが、80kmまでは問題無いでしょう。120kmくらいまで行くとヘルメット次第ではちょっと厳しいかもしれません。
音のクオリティの話に移りますが、スタンダードの方が高音がシャリシャリ鳴る、悪く言うと耳に刺さり易いのが気になりました。エージングが進む毎に改善していく可能性も有りますが、付けてすぐはあまり好ましい音を出さなかったので、この辺り少し様子見が必要な模様です。この高音の癖が有るので、人によってはロック等刺激の強い音楽は辛いかもしれません。
低音はそんなに重低音がドコドコ鳴るタイプでは有りませんが、あまり耳にきつくなく、優しい感じです。悪く言うとあまり鮮明な表現力をもたないとも言えます。ただし多少持ち上げている都合上、スカスカということは有りません。あくまで迫力や質の問題です。あまりスピードが出ていない時なら、高音だけイコライザーで少し丸めてあげると聞き易くなると思います。
公式HPではオールジャンルでバランス良くいけるとのことでしたが、確かに試聴した限りではクラシック、ジャズ、ポップス、全てそれなりにこなす感じでした。しかしボーカルの表現力はあまり高くないので、アニソンをメインに流す方にはスタンダードはちょっと物足りないかと思います。走行中なら高音と低音が薄くなってボーカルが主に残るのですが、エボリューションに比べるとスピーカーユニットそのものの性能が高くなく、あまりぐっと来るものが少ないのが難点です。全体的に出力できる情報力の少なさが目立ちました。
敢えてこれに変える必要はあまり無いかも…
全体の性能が正直エボリューションに比べて数段劣る感じなので、インカムの付属スピーカーのアップグレードとして購入されるのはちょっと避けた方が良いと思います。あまり変わらなかったとがっかりされる可能性が少し高めです。音質を考慮すると、エントリークラスとはいえ2800円という価格はちょっと高いかな、と思いました。コストパフォーマンスの判断としては【やや悪い】としておきます。もう1グレード上のプレミアムとの差額もわずか1000円ということを考えると、ここはもう少し投資した方が幸せになれる気がします。