ツアラーというジャンルは高速道路での長距離移動も視野に入るのであまり小排気量で快適かつ余裕のあるモデルを作るのは難しいジャンルです。バラデロ125は125ccという非常に限られた排気量でツーリングを快適に走ることを目的に設計された貴重な一台です。
XL125V 2001-2009
スタイリングはXL1000Vなどの上位モデルを参考にしたハーフカウルやマフラーのレイアウトなど、デュアルパーパス的な雰囲気に仕上がっています。リアキャリアは標準装備され、トップケースを装着すれば積載性も確保できます。
ポジションは高めのバーハンドルのおかげで余裕が有り、長めのウインドスクリーンの防風性の良さもツアラーとしては見逃せないポイントです。燃料タンクが16.8Lと大きいため、小排気量エンジンの燃費の良さと合わせて長距離のツーリングもノンストップで楽しむことが出来ます。
サスペンションはフロントにφ35mmの正立フォーク、リアはモノショックになっています。ブレーキはフロントに276mmのシングルディスクと2ピストンキャリパー、リアに220mmのディスクと1ピストンキャリパーを装備しています。
ホイールサイズはフロント18インチ、リア17インチの3スポークキャストホイールで、フロントを大径化して直進安定性を高めています。タイヤサイズはフロント100/90-18、リア130/80-17です。
エンジンは125cc水冷90度バンクV型2気筒。ボアストロークは42mm×45mm、圧縮比は11.8:1に設計されています。125ccは排気量としては非常に小さいため、単気筒エンジンになるのが一般的ですが、走行時の低振動・静粛性を重視しロングストロークなVツインを搭載した珍しい例です。このクラスで多気筒エンジンというのはほとんどお目にかかれません。
最大出力は15馬力/11000回転、最大トルクは1.1kg・m/8500回転で、単気筒勢と比較して高回転まで良く回る印象です。その代わりトルクに関してはやや細くなっています。日本では法律上、高速道路を走行することは出来ませんが、パワーは一般道では十分でしょう。燃料供給はPGM-FIを使用し、ユーロ3の基準もクリアしています。トランスミッションは5速MT仕様です。フレームはスチール製のダブルクレードルフレーム、それにアルミスイングアームを組み合わせています。
全長2145mm×全幅847mm、全高1250mmとこのクラスとしてはかなり大きく、125cc離れしたボディです。その分、車両重量も169kgと重めです。
現在日本国内には中古の在庫も無く、かなりの希少車です。このクラスは軽快なネイキッド、本格的な作りのスーパースポーツ、それに街中での快適性に優れるスクーターの強いジャンルですが、安価に楽しめるツアラーバイクも定番としてラインナップして欲しいですね。