ヤマハ FZ1は同社スーパースポーツYZF-R1をベースに日常での使いやすさ・楽しさを追求したツーリングスポーツという立ち位置のバイクです。ネイキッド・ハーフカウル・フルカウルと見た目のバリエーションも豊富に揃えられています。
FZ1 2006-2016
まずはネイキッド仕様のFZ1から。こちらは単眼ライトのストリートファイタースタイルで、今でも古さを感じさせません。大排気量の4気筒エンジンを中心に塊感の有るデザインに仕上げています。
サスペンションはフロントにφ43の倒立フォーク。これはワークスマシンのYZR-M1でも使用された左右独立減衰力発生方式のフォークを採用しています。左で圧側、右で伸側を受け持っており、スポーツバイクらしい優れたハンドリングとセッティングの容易さを実現しています。
ブレーキはフロントに320mmのダブルディスクとMOS×64キャリパー、リアに245mmのシングルディスクと1ピストンキャリパーを組み合わせています。ホイールは前後17インチ、タイヤサイズはフロント120/70-17、リア190/50-17です。
エンジンは04年型のYZF-R1がベースになっています。998cc5バルブ水冷4気筒です。最大出力は94馬力/9000回転、最大トルクは8.2kg・m/7500回転、いわゆる逆輸入フルパワー仕様では150馬力/11000回転、10.8kg・m/8000回転となっています。高回転型のYZF-R1のエンジンをベースに一般道で使われる低い速度域でのトルク感を重視して再セッティングされていますが、それでも良く回るエンジンとスーパースポーツ譲りの高い出力は健在です。
排気系には集合部に可変バルブを持つヤマハ伝統のEXUP(Exhaust Ultimate Power valve)が使用され、回転数に応じて排気管のバルブが開くことでマフラーから燃焼済みのガスがエンジンに戻ってくることを防いでいます。
フレームはFZ1専用に開発されたアルミフレーム。リアのスイングアームはCFアルミダイキャスト製で、どちらもミリ単位で肉厚を調整し、高いハンドリング特性を実現しています。
FZ1 FAZER 2006-2016
またネイキッドバイクに平行してハーフカウルを装備したFZ1 FAZERも販売されました。こちらは二眼式のヘッドライトでスーパースポーツの雰囲気をより継承した形になっています。
ウインカー位置やミラー形状など、フレームにマウントされたハーフカウルの装備に合わせて若干修正が加えられています。高めのウインドスクリーンによる防風性能、二名乗車を考慮したタンデムシートとグラブバー、それにメンテナンスに役立つセンタースタンドが装備されているのがポイントで、よりツーリング時の快適性を高めた形になっています。
FZ1 FAZER GT 2011-2016
FAZERもハーフカウルのおかげで胸部や頭部への防風性を高めていましたが、2011年にはワイズギアのフルカウルを装備したFZ1 FAZER GTが設定されました。
基本的にはベースとなったFAZERと同等のバイクですが、エンジンを広くカバーするカウルのおかげで、見た目の迫力は大きく向上しています。ハーフカウルのFAZERでは少し見た目が寂しい・もっと防風性を強化したいというライダーには適した一台です。
ウインドスクリーンもGTグレードでは大型化され、更に走行風を防ぐ仕様になりました。ツアラーバイクとして高速巡航を考えた時、この差はやはり大きい物でしょう。また変化としては細かいですが、ヘルメットホルダーの追加で出先での保管も考慮されています。