クラウドファンディング

複数回のクラウドファンディングを運営して感じること

こんにちは、MOSです。

このブログでクラウドファンディングを行うのももう5回以上ということで、当初と比べて「クラウドファンディングってこういうもの」「クラウドファンディングってこうなのか…」と思うことをまとめました。これからクラウドファンディングを始めるという人には役に立つかもしれません。

想像以上にリスクの大きいクラウドファンディング

一般的にクラウドファンディングは低リスクと言われますが、最近は淡々とプロダクツを作るのに比べてリスク要因はかなり有るな、と思う様になりました。

・いくら集まるかは予測できない

まずクラウドファンディングでいくら集まるか、というのは予想が難しいです。特に初回の場合はどの程度のポテンシャルが有るか正確に判断するのは不可能でしょう。これは非常に厄介な問題で、適正なキャッシュフローを保つことが難しい要因です。

この時に問題になるのは広告費や開発費をどのくらいかけるか、ということです。例えば100万円確実に集まる、という保証が有るなら、それに見合った広告キャンペーンなり試作品なりを用意することが出来ます。しかしこれが0円かもしれない、となるとコストをかけるだけリスクが増大することになります。その点から、クラウドファンディングにお金をかける、というのは非常にリスキーです。

・コストの発生は主に3段階

クラウドファンディングではコストの発生は主に3段階に分かれます。

まず設計・試作を行う第1段階、キャンペーン中に広告を打ち認知度を高める第2段階、最終的に製品を製造・量産する第3段階です。

第1段階と第2段階にお金をかけるほど一般的にはしっかりとした大作のキャンペーンになります。しかしこの時にかかるコストが最終的な調達額を上回れば赤字になり、最悪の場合は第3段階のコストを賄えなくなります。そのため、赤字でも構わない場合を除いて目標調達額にはかなり余裕を持たせておくのが無難です。

第3段階はクラウドファンディングが失敗すれば発生しないコストですが、その場合第1段階と第2段階のコストを丸々受け止めることになります。もしこの時点で100万円のコストがかかっていたなら、100万円の赤字のみ残ることになってしまいます。

この様にクラウドファンディングは失敗した時に製品を製造する責任を負わないメリットが有りますが、そこまでのコストは全て負担しなければなりません。組立て次第では思わぬ財政的な痛手を被る可能性もあるのが今日のクラウドファンディングです。

・多人数を相手にすることの難しさが出ちゃう

クラウドファンディングは大勢から少しずつ資金を集める仕組みです。特に人気のキャンペーンでは1万人を超える出資者が集まることも有ります。

そのため、大勢からの支援を集めようとすると必要以上にマイルドな作りにしないといけない、バランスを取らなきゃいけないというシーンに結構出くわします。単価が高くて少人数でもOK、という場合はかなり尖った作りにできるのですが、単価が安くて多人数を集める必要が有る、という場合はやはりそれに見合った作り、角を落とす作業が必要になるので、それが作品性を削いでしまうという可能性も常に付いて回ります。

そのため、敢えて高性能・高額な製品で一部のマニア向けに特化するというのは依然有効な手法です。

難しい損益分岐点

次に実際に資金を集める段階ですが、リワードの設定が大きなポイントになります。国内の成功案件でもリワードを製造したら結局赤字になったという話を耳にします。大前提としてリワードの製造・配布にはお金がかかるため、その辺りの見積もりが甘いと手元にお金が残らないどころか大赤字という結末になります。

・豪華すぎるリワード

例えば100円のリワードに10000円相当の内容を盛り込んでしまう場合、お得感が強いので人気リワードになることが予想されます。しかし原価が100円を上回るなら、支援者が増えれば増えるほど赤字になっていきます。

一方で価格に対してリワードの中身が貧弱ですと今度は出資そのものが集まらなくなってしまいます。この辺りは非常にバランスの難しい所ですが、郵送費のかからないデジタルデータのリワードを追加する等、コストを抑えたリワードの設定などで対処できます。

・リワードの製造費を考える

まず返礼品であるリワードはそのキャンペーンの肝となる場合がほとんどです。運営サイドとしてはしっかりとした内容の有るリワードを設定したいというのが本音です。しかし内容の有るリワードというのは大抵事前のコストが膨大なため、前述の問題が絡んできます。

つまり凝ったリワードほど実際の黒字化、あるいはトントンくらいで終えることが難しいということです。そのため見栄えのするリワードを削って収支のバランスを取らざるを得ない、ということも起きます。

クラウドファンディングし続けるということ

これらのリスクは一度限りの資金調達、あるいは従業員として会社のクラウドファンディングに関わるという場合はそれほど問題になりません。1回だけなら多少赤字になっても何とか耐えられます。実際、成功したキャンペーン運営者はクラウドファンディングはそれきりになる傾向が強いです。また、仮に大きな赤字になっても雇用されている立場ならそれを負担することは無いですし、リスクは皆無です。

しかし個人でクラウドファンディングを行うなら、特にコストを全て丸被りしないといけないリスクは事前に理解しておく必要が有るでしょう。またクラウドファンディングでは最終的に調達額の倍のコストが発生することも実際に有り得ます。10万円の調達に20万円のコストなら個人でも耐えられますが、1000万円の調達に2000万円のコストは耐えることは不可能です。

キャンペーンを繰り返し行う場合、その都度これらのリスクを背負うという認識も必要です。2018年には国内外のクラウドファンディングのどこでもキャンペーンを立ち上げられる様になりましたが、このやり方で資金を集めて上手に運用するのは依然難しいです。