発売前から多くのライダーをワクワクさせてきたナイケンに、ツーリング装備を追加したナイケンGTが登場しました。高速巡航や宿泊付きのツーリングにより適した仕様になっています。
防風性・積載性を大幅アップ
ナイケンGTは、ベースとなったナイケンと比べると、面積を拡大したウイングシールド、トップケースやサイドバッグに対応したリアキャリア周りで、快適性が底上げされたことがわかります。寒い季節に手を温めてくれるヒーターグリップも標準装備されています。
センタースタンドはメンテナンス時に役に立つので、これも嬉しい装備です。
ツーリングライダーにはこっちが本命
ナイケン自体、スポーツ性と安全性を向上させた新世代のバイクという位置づけで登場しましたが、ツーリング用途に使うなら小さいシールドなどはオーナー側でもう一工夫する必要が有りました。こちらのグレードは最初からそれらの改良が為されているので、具合が良さそうです。
ナイケンGTの車体そのものはナイケンと全く同じで、自慢のLMWをこちらでも楽しむことが出来ます。通常のオートバイに比べて2倍に増えた倒立フォークは見た目も凄い迫力です。前15インチ、後ろ17インチのホイールに、ブリヂストンのA41が純正タイヤとして採用されています。
アドベンチャーバイク用に開発されたオンロードタイヤで、ちょっとした悪路に入り込んでもグリップ力を保持します。ウェット路面にも強く、全天候型のタイヤです。そのためSSに比べると路面を選ばないバイクになっています。
ただ、ブリヂストンが最近出したアドベンチャー向けオフロードタイヤ、AX41にはナイケン用サイズが設定されませんでした…。ナイケン用サイズが出ていたら結構面白い使い方も出来たと思うのですが。
車体はナイケン相当ですが、装備の変更で4kg重い267kgとなっています。この排気量のバイクとしては結構重めで、車重ではもう1ランク上のバイクと肩を並べます。
この重量級のボディを引っ張るエンジンはナイケンと同様、MT-09などにも使われている847cc水冷3気筒です。これは最近のヤマハバイクで大活躍のエンジンです。115馬力/10000回転というスペックも国内の走行に関しては全く不足無い数字で、LMWの安定性を堪能しつつ高速道路をハイペースでクルージングするといった使い方にも十分対応します。クルーズコントロールが付いているのも、最新のツアラーバイクといった感じですね。
ただ、どうせGTグレードを設定するなら燃料タンクも大型化して欲しかったかも…と少し気になりました。18Lタンクが搭載されて、ナイケンの燃費が20km/Lくらいと考えるとロングツーリング時にはどこかで給油は必須になります。
連泊に使う大型ツアラーとしてはどうか?
ライダー保護という観点では、大型シールドの装備でかなり防風性能がアップしました。グリップに加え、オプションながらシートヒーターなど電熱装備も有り、冬場でも快適性は高いです。
ただ積載性に関しては、1泊の旅行はともかく、北海道ツーリングの様な4泊5泊クラスの旅行にはちょっと物足りないです。
積載性を見ていくとナイケン GTには左右25Lのエアロサイドバッグが付属しています。
この25Lという容量は、近年のツアラーの主流であるアドベンチャー系に比べるとちょっと小さいです。例えば同じヤマハのアドベンチャーバイク、スーパーテネレでも40Lとか更に大型バッグを積むことが出来ます。こっちは大陸横断といった文字通りのロングツーリングでも愛用されているので荷物はたっぷり入ります。他方で活発になっているゴールドウイングの様なフェアリング付き大型ツアラーは全部入りとも表現できるような超豪華装備を盛り込む傾向になっています。積載性に関してはこちらも数段上です。
それらと比較するとナイケン GTの快適装備は少し絞られていて、ガチガチのツアラーというよりは走行性能も加味したスポーツツアラーという立ち位置がしっくり来るかと思います。同じような感じだと、例えばR1200RSの様なツーリングを楽しみつつもいざというときの俊敏性を犠牲にしないというバイク達です。
これらと比較するとナイケンGTは3輪による安定したフロントグリップや、レスポンスに優れる3気筒エンジンなど独自の魅力が光ります。同じエンジンを搭載したMT-09 Tracerと比べるても、こちらの安心してツーリングを楽しめる感は強いです。
LMWでロングツーリングを楽しみたい人向き!
ナイケン GTはナイケンの安定性+諸々の快適装備を加えたモデルなので、長時間のツーリングが更に楽しめるバイクになりました。
「ナイケンは気になってるけど、別に膝を擦りたいわけじゃないし・・・」という人にはこちらのGTモデルの方がフィットするかと思います。