クラウドファンディング

2018年日本一不幸だったクラウドファンディングの話を聞いてくれ

こんにちは、MOSです。

今日は先日から予告していたクラウドファンディングキャンペーンがいよいよ公開できるので、そのご報告…と言いたいですがあまり良い報告が出来ません。
前回の記事でネガティブな記事は終わり!と思ったのですが、第2の爆弾が投げ込まれたからです…。

最初はバイクのヘルメット用のデカールを設計することから始まった

次回のキャンペーンは既にご周知の通り、バイクのヘルメットのデカールを製作することです。

多くのヘルメットに適合する汎用デカールを製作することはずっと以前から企画していたことで、2年前にもこの企画でクラウドファンディングを実施し資金を集めています。
この頃はまぁ…今思い返しても抜けも色々有ったので失敗するのも宜なるかな、という感じですが、企画そのものはいつか再チャレンジ!という気持ちで諦めてはいませんでした。
今回2年ぶりに一から設計を行い、製品化まで行いました。

この企画の趣旨は、

・入手しやすいヘルメットのデカールキットを作ること
・誰でも気軽にグラフィックを自分のヘルメットに追加できるようにすること

と企画趣旨そのものは至極真っ当な理由で生まれました。資金が集まるようならもっとちゃんと作って定番化していけたらな、というのが個人的な希望でした。

9~10月頃から企画と検証を行い、試作が仕上がったのが11月頃のお話です。以前記事を書いたBMWナイトミーティングにも試作を持ち込みPRをかけたり、12月にかけてキャンペーンの準備を進めました。

理由は後述しますが、写真を見せられないのが本当に残念です…。

プラットフォームはMakuakeさん

クラウドファンディングを実施するに当たり、過去おつきあいの有るKickstarterやCampfireではなく、Makuakeさんに企画を持ち込みました。

これはMakuakeさんのプラットフォームの運営がどんな物か個人的に興味が有ったからです。この3社がどう違うかはまた別の記事にまとめたいと思います。

さてMakuakeさんとの打ち合わせは至ってスムーズに進みました。というのも企画を持ち込んだ段階で試作と仕様の策定、初期ロットの量産まで全て終わっていたからです。製品としては完全に詰めた段階でした。
逆にクラウドファンディング特有の、調達額に応じて製品をアップグレードする、といった余地がほとんど無いほど製品として出来上がっていたので、良いのか?という状態での打ち合わせだったのを覚えています。

Makuakeさんの都合で12月末まで審査がかかることを聞いたときも、そこまでやること無いな…と思ったくらいでした。結果的にKickstarterでの活動に専念することが出来ました。

不幸の始まり:チャプター1未公開事件

このブログを逐一チェックして頂いている方はご存じかと思いますが、今年の下半期を通じて公開を順次進めていた装甲×少女のチャプター1が諸般の事情で公開停止することになりました。理由は担当イラストレーターとのキャラクター利用に関する権利問題だったのですが、しばらく行方不明だった後の第一声がそれとはこちらも完全に予想外でした…。

最終的に指定キャラクターの利用停止とストーリーの書き直し、それにチャプターの公開停止で落着しました。
が、今回のキャンペーンにはその後多大な影響を及ぼすこととなりました…。

このキャンペーンが最も割を食う形に…

実は今回のごたごた一番影響を受けたのはこのキャンペーンでした。というのもデカールのキャラクターにチャプター1の登場キャラクターがしっかり入っていたからです…。当然デカールも使用停止せざるを得ず、製品も破棄するしか有りませんでした。つまりこの時点でデカールの仕様は既に白紙に戻っていました。

問題はこの時既にMakuakeさんの1次審査を通っていたことです。Makuakeさんには複数ステップの審査が有るのですが、2次審査の書類提出期限まで1週間無い状態でした。
キャンペーンの公開日時は私とMakuakeさんの双方のスケジュールで決めているので今更手前の理由で中止も延期も出来ない状態…そこで私のやらないといけなかったことは以下の手順です。

新規にキャラクター設定を起こす

キャラクターデザインを担当してくれる代わりのイラストレーターを見つける

デカールのデザインをやり直す

試作を作って製品仕様を固める

これを一週間で終わらせるのは無理です…。結局、提出資料は暫定的な物でも審査に出せたのですが、キャラクターデザインなど間に合うはずも有りません。

今度はMakuake側でも問題が…

更にMakuakeさんのシステム上、2次審査を通すと、以後キャンペーンページの変更が出来ません。つまりキャラクターデザインが2次審査に間に合わないとキャンペーンページに載らないことになります。

実はMakuakeさんからはプレビューページを頂いているので、ここではそれを公開します(ただしここからは注文できません

一見キャンペーンページが出来上がっているように見えますが、まずキャラクターはこのままの状態でデカール化しません。更に当然ながらデカールのデザインも、モックアップの写真も公開できません。これら全てMakuakeさんに打診段階で揃っていた物で、問題なく皆様に見せられるはずでしたが、結局何一つ揃えることが出来ませんでした…。作る側からするとこんなに辛くて悔しいことは無いです…。

デカールの製作に5万円は高いって?

プレビューページを見た人の中には『デカール作るだけで5万円の目標額は高すぎちゃうか?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これほんと私の利益は無いです…。Makuakeさんと協議して決めた額でも有りますが、その後更に作り直しを行ったせいで製作コストは既に10万円超えの余裕の赤字確定コースとなっております…。

公開は12月27日!

一応公開日だけは予定通り12月27日を予定しています。

ただ年末というほとんどの会社が休業に入る中、どれだけ調整が出来るかは難しい舵取りを迫られることは確実…。正直、調整を行うには一番向いていない時期です。
前回のデカールのクラウドファンディングも確か年末に調整しようとしてどこも印刷してくれず結局年末年始の休みをただ漫然と過ごした記憶があります…まさか歴史を繰り返すことになるとは…。

イラストレーターが最大のリスク要因に・・・

コンテンツを制作する上でイラストレーターは大事なパートナーで有り、仲間です。正直向こうからぞんざいな扱いを受けることは有りますが、制作上困った時は出来るだけサポートする様にしています。

しかし最近はこのイラストレーターの存在こそが企画運営上のリスク要因となってしまいました…。イラストレーターがもたらすリスクについてはこんな感じで数パターン有ります。

A.多忙で動けなくなる

…これはまぁ、2年も有れば職業が変わったり住む場所が変わったりすることは大いに有り得ますので相手を一概に責められませんね。

この場合に発生するリスクとしては、キャラクターの設定資料が描き上がる前に一切の受注が出来なくなると、そのキャラクターがブラックボックス化する可能性が有ることでしょうか。事実、装甲×少女でもこの形で今後キャラクターを掘り下げることが出来なくなった例が複数存在します。

B.音信不通になる

数ヶ月ぶりに連絡するとメール返信が全くないパターンです。大抵、SNSなどの更新も止まり、事実上の行方不明と化します。イラストをお願いしていないときに行方不明になるのなら特にこちらで困ることは無いのですが、イラスト制作中に行方不明になるケースも多々有ります。今回もこのパターンでした…。

このパターンは非常に多くて、3年持つイラストレーターはとても少ないです。しかしブロガーやYouTuberもそうなのでイラストレーター固有の現象では有りません。3年というのは一つのことを続けるにはあまりに長い年月なのかも知れませんね。

その後の展開は本当に様々で、一切の連絡が無いことも有れば半年後くらいにひょっこり戻ってきて請求を回してくるケースも…。

C.お金を持って逃げる

これは正直過去に数例しか私も経験が無いです。しかし前払いを要求して振り込まれたら消える…ということは実際に有りました。
ラフのみ提出してくるのはせめてもの良心でしょうか?

D.納期を全く守らない

これは商業の実績の有る方でも多いですが、当初決めた納期日を守ってくれる方は全体の2割いないです…。

ほとんどの人は納期日を過ぎても連絡をくれることは有りません。たまに納期日直前で連絡してくるケースも有りますが、結局の所納期日を相談するという事自体、「こいつの案件は遅らせても許される」と思ってることの何よりの証左で、余裕でアウトです。

そもそも本当に遅らせちゃ不味いと思ってるなら、そんなこと聞かずに間に合わせようとするでしょ?

で、実際の所イラストレーターの内、大半は1年以内にどれかをこじらせます…。残った人は本当に貴重ですね。
そういうわけで結局使えなくなってしまったイラストというのは本当に多いです。

イラストレーター界隈に付き合うのはもう懲り懲り…

これは多分、私自身が絵を描かないからだと思いますが、個人的にイラストレーター界隈特有の事情に私が巻き込まれるのはもう嫌だな、というのが本音です。

イラストレーターが出たり入ったりする度にお気に入りのキャラクターが消えたり、ストーリーが変更を余儀なくされたり、こっちの製作に多大な悪影響を及ぼすことが非常に多いからです。
そもそも本人が多忙になったり行方不明になるリスクは、本来私が背負う必要の無いリスクなわけでして…。

またイラストレーターの中には自分がコンテンツを作ってる!クリエイターだ!という意識が強い方がいますが、イラストレーターの作る物というのは作品全体のごく一部なわけですよ。
例えば一般に絵買いの傾向が強いライトノベルでさえ、商品の本質は小説部分に有るわけです。それなのに自分の意向でコンテンツを左右しようとする、他のクリエイターやその作品へのリスペクトを持てない方々、というのは私がクリエイターだから言いますが、リスペクトすることは断じて出来ません。
今回の件も、結局日の目を見ずにお蔵入りすることになったクリエイターの作品が有る訳で、我を通そうとする方がいると全体が損失を被ることになるんですよ。

しばらく自分のプロダクトに集中したい…

キャンペーンが公開されてもいないのにアレですが、もうデカール案件の商品化はお腹一杯という気持ちです…。これだけのリスクを冒すより、2019年はもっと自分のプロダクトに集中したいな、と考えています。

勿論、キャンペーンが達成した際は最後まで誠心誠意対応いたしますが、このキャンペーンページでいけるのか?と私自身がかなり疑問です…。

実は装甲×少女のチャプター2は予定を繰り上げて公開をスタートさせました! チャプター2、チャプター3と2019年中に順次ストーリーを公開していく予定です。しばらくはこっちに集中したい…。コスト的にも何とか回収していけそうですし。

とはいえチャプター2も割を食うことに…

今回チャプター1を公開停止にしたり諸々の関連ネタが影響を受けたことで、トータル50万円くらいの赤字になってしまいました…。赤字そのものよりも、公開できるコンテンツが大幅に減少したのが非常に痛いです…。

金額的には飲み込めないことは無いのですが、次もこれが起こったらきついな…ということでチャプター2の規模を絞ることになってしまいました。具体的には全10枚のCGを製作する予定ですが、6枚に削減しています。その結果、各キャラクターの掘り下げを行うことが出来なくなりました…。

一応チャプター3への影響は無いと思いますが、チャプター2は金銭面の懐事情が強く反映される結果となり、非常に残念です。