最近試乗車を回っていますが、今度は場の流れで凄いのになっちゃいました。 ビッグネイキッドに興味が有る方なら名前は確実に知っているDUCATIのMonster1200Sです。最近低排気量車ばかり乗っていたのでオーリンズサスペンションやラジアルマウントのbremboキャリパー等の豪華装備が非常にオラついています。このクラスになると車両価格も青天井(車両価格約200万)になり、転倒時の修理代保証にサインする手に震えが…。試乗はしたいが、絶対に転倒しないという覚悟が必要です。
Monster1200Sを眺めてみる
ライトを挟み込む金色のフロントフォーク、Monsterシリーズ共通の真っ赤なトレリスフレーム、タンクやフェンダーもDUCATIのイメージカラーの赤に統一され、いかにもイタリア車らしい雰囲気を身に纏っています。搭載されるTestastretta 11° DSエンジンは国内仕様で126馬力と本来の数値より若干落とされていますが、トルクは12.2kgmと十分過ぎる数値です。DUCATIというとじゃじゃ馬を乗りこなすイメージを持たれる方も多いと思いますが、これは3種のライディングモードにABSとトラクションコントロールを組み合わせることで、誰が乗っても扱える様に良く調教されています。車体サイズは全長2200mmにホイールベース1510mmとCB1300とほぼ一緒のサイズ感です。
Lツインは鼓動感は有っても振動は少ない
DUCATIの魅力と言えば何と言っても自慢のV型2気筒、いわゆるLツインで間違いないでしょう。このクラスの国産が直列4気筒をメインに扱う中、DUCATIは硬派にこの2気筒エンジンを貫いています。勿論バルブの駆動系も伝統のデスモドロミックです。
個人的に大排気量の2気筒エンジンにあまり良い印象が無く、リッタークラスならやはり4気筒が静粛性に優れ、万人向けの普段使いのバイクには向いていると思っています。なので1200cc2気筒というパッケージにはいささか不安を感じていました。アイドリングも猛々しく、これはちょっと私個人の好みと離れてるかなぁというのがMonster1200Sに対する私の第一印象でした。しかし、乗車中に関して言えば気になっていた荒っぽさはそこまで感じず、良い意味の鼓動感だけが残るフィーリングです。理論上、90度のV型エンジンは1次振動を打ち消すことが出来るので、思っていた程きついフィーリングではなく、大排気量2気筒でもこれなら全然いけます。
Monster1200Sは車両重量209kg、タイヤも極太で数字的には曲げ易いバイクではないはずですが、動きは非常にクイックです。400ccクラスと間違うほどに倒しやすく、とにかく良く曲がります。それでいて126馬力のパワーですから、曲げてよし立ち上がってよしの戦闘力抜群バイクというわけです。大排気量らしい充実したトルクで、アクセルを開ければ即車体を前に弾き飛ばすパワーを発揮します。その代わり街中での低速度域ではちょっとアクセルワークがシビアな印象を受けました。出力モードを調整出来る様になっていますので、ペースの遅い時と速い時で程度に切り替えていくことをおすすめします。サスペンションは確かに固めですが、しなやかにストロークし、細かなギャップにも不快感を感じさせません。いかにも効きそうなBremboのブレーキは、制動力よりもコントロール重視で非常に扱い易くなっています。ちょっとの握り込みですぐにブレーキが強烈に効いてくる様なシビアさは有りません。
ちょっと気になったのはエンジンそのものの熱量です。これはヒーターも真っ青の驚きの発熱ぶりで、冬から春先までは足元が暖かいというレベルで済みますが、真夏になるとこの熱は間違い無く辛いです。デジタルメーターに表示される水温もみるみる内に上昇していくので心臓に優しくないですね。あまり長時間渋滞につかまることは避けたいところです。
前傾姿勢はSS程きつくありませんが、ネイキッドバイクとして考えるとかなりの前傾ポジションです。ゆったりツーリングという使用にはあまり向いていない感じです。週末のワインディングで少しペースを早く走らせるという向きにはぴったりでしょう。バイクと一体感を感じる適切なバランスとなっています。
足付き性は流石にビックネイキッドのそれですが、成人男性なら問題無く足が付くレベルです。タンク形状は大柄ですが、フィット感は良好です。あまり自身の存在を主張しない自然な形状にまとまっています。