SBKで絶賛活躍中のMV AGUSTA F4のご紹介です。フラッグシップらしい力強いスタイリングと、スーパースポーツらしいハイパワーを持った高性能モデルになります。SBKに使用される都合、AGUSTAの中でも特に速さを追求したバイクになります。
ベースグレードからホモロゲーション仕様まで
まずベースグレードのF4から説明させて頂きます。搭載されるエンジンは998cc4気筒、最大馬力は195馬力と最新鋭のスーパースポーツのスペックです。ボアストロークは79.0mm×50.9mmといかにもSSらしいショートストローク設計ですね。ライバルの中ではYZF-R1と同じ数字です。またMV AGUSTAではラジアルバルブという特殊な仕組みを採用しています。これはフェラーリよりもたらされた技術で、バルブを文字通り傾けて、放射状に配置するものです。メリットとしては、バルブの面積をより広く取れる、混合気がボアの中心部に集まる、燃焼室の形状を流体力学上理想的な球面上に近づけることが出来る等々、エンジン性能をシビアに追求するレース環境で培われた技術です。またF4ではカムの押し下げにロッカーアームを廃することで軽量化、ロスの低減を図っています。一方、バルブを傾ける為にはカムシャフトのカムに角度を付ける必要が有り、技術的にもコスト的にも複雑になります。
フレームはクロモリ鋼のパイプフレームを使用しており、カウルの隙間から見える赤いフレームがデザイン上のアクセントになっています。カウルのスリットも大胆に開けられていますが、これはこの凝ったフレームを見せたい意図も多分に含まれているかと思われます。ホイールベースは旋回性を重視し、1380mmとライバルと比較してもかなりのショートホイールベースになっています。サスペンションは当然フロント・リア共に調整式、ブレーキも4ポットキャリパーで200kg近い車体がフルブレーキングしても確実に止める力が有ります。特徴的な4本出しのセンターアップマフラーはシートカウルとも綺麗に調和しており、後方からのシルエットを一際美しく演出しています。
SBKにも投入されたRR
こちらは2014年からSBKに投入された上位グレードのF4 RR。F4の走行性能を更に引き上げたモデルになります。大きな違いはまずサスペンションが前後電子制御式になりました。出力もベースグレードが195馬力/13400回転のところ、201馬力/13600回転と更に高回転化し、パワーアップしています。これはRRグレードに採用されたチタン製コンロッドによる軽量化が効いている様です。海外のデータシートには最高速も記載されていますが、リミッターカットで297kmとなっています。F4から80万円アップの約310万とSSの中でもかなりの高額ぶりですが、優れたデザインと基本性能の高さに磨きが掛かっており、F4を買うなら是非こちらもご検討頂きたいですね。
勝つ為の最強限定モデル RC
これは今年発売されたホモロゲーションモデルのF4 RC。市販車レースのSBKに勝ちたい為に、ほぼレース仕様のモデルを発売しました。限定車の為、日本国内には5台のみ流通するとのことですから、直接目にしたらかなり貴重な体験ですね。専用カラーを配され、非常にレーシーな仕上がりとなっています。RCではシリンダーヘッド等を専用品に交換し、最高212馬力と更にパワーアップされました。これで最高速は302kmと300kmの大台に突入しています。車重は乾燥重量で183kgと大幅に軽量化されていますが、レースキットを組むことで175kgと更に軽くすることが可能です。プレミアム感を押し出した限定モデルというよりは、まさにSBKレーサーをそのまま発売した感じのする超過激なモデルです。価格は470万円とリッタースポーツの中でも段違いに高くなってしまいましたが、世界の第一線の性能を体感したい方にはおすすめのモデルです。