カワサキのミドルクラスネイキッドであるZ800。最近のカワサキらしい非常に尖ったデザインでライバルのGSR750やMT-09に存在感では負けていません。806ccに排気量アップした直列4気筒が力強さを更に増しています。
とにかくアグレッシブを貫くスタイルが魅力
Z800は兄貴分のZ1000に比べると見た目に適度なコンパクト感が有りますね。ライトはこれぞストリートファイターと言いたくなる様な異形ライトです。蝙蝠の様な独特な形状をしています。シートも凝っており、Zマークの模様と、リアシートは別カラーに塗り分けられていますね。シート高834mとこのクラスの中ではわずかに高めの設計です。ハンドル高も低く、ポジションはスポーツ寄りになっています。カウル類はネイキッドらしく控えめに抑えられており、アンダーカウルも付いていますが、これはエキゾーストパイプをぐるっと覆う様な大掛かりな物ではなく、ガードの様に左右に添える形になっています。その分4気筒エンジンからうねる様に伸びたパイプが露出して見た目的にはGoodです。またこれもセンターパイプを無くし、集合管以降をサイレンサーとして機能させることでマスの集中化を図っています。末端の形状も多面形を取った事で深いバンク角でも擦らなくなり、もっと寝かせろというカワサキからのメッセージを感じます。
フレームはエンジンの上を通るバックボーンフレームに、アルミのサブフレームがエンジンを挟む形で付いています。フロントブレーキは310mmのダブルディスクに4ポットキャリパーが付いてデザイン的な重厚感を添えていますね。ABSは標準装備で確かな制動力とコントロール性が保証されています。メーターはフルデジタルの三面液晶と他よりも相当凝った作りをしており、ライダー目線での所有の満足度を高めます。スイングアームはデザインにもう一捻り欲しかったところですが、リアショックは別体タンク付きのモノショック、フロントも41mmのKYB製倒立フォークとルックス面のポイントには事欠きません。
このモデルで直列4気筒エンジンを806ccに排気量アップし全域でトルクが上昇しています。71×50.9mmとボアストローク比は非常にショートストロークです。最大馬力では113馬力/10200回転とライバル達をわずかに上回っており、4気筒らしく非常に上まで良く回るのもポイントです。難点を挙げるなら229kgと車重もライバルより数段重たいことでしょうか。軽量を狙ったMT-09辺りとは明らかに方向性が違っています。とはいえキャスター角は24度と立っており、トレール量も他よりも少ないことから直進安定性重視というわけでも有りません。ホイールベースに関しては1445mmと他とほぼ同等のスペックです。
ストリートファイターの条件である、鋭く攻撃的なルックスという面ではほぼ満点の出来のZ800。デザインの目立ち度も高いですし、最先端のスタイルを求めつつも普段から適度に振り回せるサイズを求める方にはかなり向いていると思います。