奇妙な縁も有り、我が家ではトヨタのパッソを3世代に渡り乗り継いでいます。どれも我が家の足として活躍してくれたわけですが、先日新型パッソが納車となった為、これまでの3台分の印象をまとめたいと思います。
第一世代
4年くらい前に私の車として乗っていました。今思うと男性が乗っても問題無いモデルとしてはここがピークだった様にも思えます。1300ccエンジンの設定が有り、それまで乗っていたムーヴからすると格段にパワーアップしていました。実はこの世代はダイハツブーンの名前で競技ベース車両も出る程硬派な作り。トヨタからは「Racy」の名前でスポーツグレードも販売されていました。TRDのコンプリートカーも出ており、小型ながらかなり走りに気を使っていた印象です。鋭いヘッドライトは男性が乗っていても違和感は少なく、そこそこ走るコンパクトカーとして良く出来ていたと思います。
難点はエンジンパワーはそこそこ有る割に高速道路では接地感が乏しく、どこへ飛ぶかわからず怖かったということでしょうか…。街乗りでは申し分無い性能でしたが、あまりこれで遠出したい気持ちにはなりませんでした。しかしデザイン的にはシャープな作りでかなり男性的です。その分女性には受けなかったのか、次から一気に丸みを帯びたデザインとなりました。
第二世代
ここから急速に女性目線の自動車になり、排気量も1000ccとぐっと大人しくなりました。正直言ってパワーダウン感は否めず、街乗りで使っていてももたつくことが気になるモデルでした。足回りは良く言われる乗り心地重視のトヨタの足で、衝撃吸収性は悪く無いのですが、ロールが大きくふにゃふにゃした感じは好きになれませんでした。
高速道路での安定性は少し良くなり、こちらなら数時間のドライブは余裕といった感じです。問題はエンジンパワーが先代よりも数段下がった為、80km巡航から更にアクセルを踏み足して加速しようとしてももうパワー切れの状態になっていることでしょうか。軽自動車に毛の生えたくらいの出力ですから当然では有りますが、他の普通車に比べて走行性能の不足感はかなり感じました。
第三世代
ここで現行のパッソに話が移ります。排気量は1000ccとそのままですが、アイドリングストップ等標準装備されており、先代より数段静かになったイメージです(一応先代も後年のマイナーチェンジでアイドリングストップは付きました)
パッソに使われているフラットなシートはホールド性はあまり高く有りません。その割にドライビングポジションは前モデルよりも改善され、安定感が増しました。走行中の見通しも良くなっています。内装のデザインも見直され、質感は高くなったと感じています。
足回りもしっかりめに調整されており、振動を拾う代わりに不快なロールはかなり抑えられています。ハンドリングは軽快さが増し、全体的に良く曲がるようになりました。ただブレーキフィーリングがあまり良くなく、かなりペダルを押し込んでコントロールする仕様は不安にさせられます。制動力はそこそこな割にとにかくまずグッとペダルを踏み切って調整するというのはやや気味悪さが…。またコーナーリング時のふらつきはとてもストレスを感じます。腰高なコンパクトカーでは当たり前なのですが曲がった時の軽快感より不快感の方が大きく、特に減速から1次旋回までが明確に不安定です。FFですからアクセルオンで安定しますが、問題はここでもパワー不足で加速していかないことです。先代に比べればまだ瞬発力を感じるのですが…。
コンセプトが「軽じゃないK」ということで、文字通り軽サイズの普通車を求める層をターゲットにしています。エンジン出力69馬力とスペック的にもほぼ軽自動車水準です。加速力というか車そのものの元気の良さで軽ターボに負けているわけですから、これを買うということは衝突安全性で軽自動車が不安な方がほとんどかと思います。
このモデルでは女性目線に振り過ぎた先代を反省し、男性も購入しやすい様に再設定されています。確かにカラーリングのバリエーションも豊富、デザインも選べる為、間口は広い印象です。しかし最大のメリットが小回りと取り回しの良さですから、多人数を乗せるケースの多い男性が使うには排気量的な物足りなさが強いのではないでしょうか?男性でコンパクトカーならトヨタならヴィッツクラスの方がもう少ししっかり走ってくれます。スズキのスイフト等も安いです。女性が使うには良い部分が目立ちますが、あまり男性に積極的におすすめはできない感じです。
新型パッソ/ブーンのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)
- 出版社/メーカー: 三栄書房
- 発売日: 2016/05/28
- メディア: ムック
- この商品を含むブログを見る