アプリリアが誇るスーパーモタード、ドルソデューロ750。国内メーカーのモタードバイクよりもかなりの大排気量モデルで、軽快さと強烈なパワー感を両立しています。スタイル的にもいかにもイタリアらしい華美な感じで、この類のバイクにありがちな土臭さを感じさせません。
スーパーモタードらしく、ホイールサイズは前後17インチを装備しています。タイヤ幅はフロントが120/70-17、リアが180/55-17と太く、トルクに優れるエンジンのパワーを残らず路面に伝えてくるサイズです。
軽量なモタードの長所として、ハードブレーキング時の制動距離の短さで有利ということが挙げられます。更にドルソデューロ750ではフロントに330mmのウェーブディスクに4ポットのラジアルマウントブレーキキャリパー、リアには240mmのディスクを採用することで、従来よりも強力な制動力を発揮します。ブレーキラインも加圧膨張する一般的なゴム製の物から、ダイレクトなフィーリングに優れるステンレスメッシュ製のブレーキラインへと変えられています。ABSも装備されており、スーパーモタードが主戦場とする荒れた路面でもロックを抑えて確実に減速してくれます。
コンパクトでスリムが身上のモタードバイクであるドルソデューロ750のエンジンに、アプリリアは90度バンクの750ccV型2気筒エンジンを使用しています。ピークパワーは92馬力/8750回転と軽量なボディには十分な数値です。また最大トルクは82 Nm/4500回転と、非常に低い回転から強い力を発生するセッティングを為されています。軽快なモタードらしい、アクセルオンで即加速するフィールを存分に楽しむことが出来そうです。この非常にトルクにパンチの有るVツインを使用している為、スロットルも電子制御化することで、ライダーが安心してアクセルを操作出来る様にしています。ハンドルのスイッチで3つのパワーモードをライダーが選択し、ツーリング、スポーツ、ウェットといった求められる特性の違うシチュエーションに対応します。
リアは2本出しのセンターアップマフラーとしてまとめられており、造形の美しさに溢れています。スイングアームも細身で綺麗な曲線を描いており、すっきりとした足回りの良いアクセントです。
フレームはスチールとアルミを併用しており、鋼管トレリスフレームにアルミのサイドメンバーを合わせています。ドルソデューロ750はスーパーモタードの為、エンジン出力を受ける高い剛性を確保することは勿論ですが、意図的なパワースライドを必要とするライダーの要求に沿った形で設計されています。
車重は186kgと流石に250cc程では有りませんが、750ccという排気量にしては非常に軽く仕上がっていますね。タンクも12Lと必要最低限なコンパクトな物を使用しています。オフロードをベースにしたスーパーモタードのスタイルはシート高が高くなる傾向に有り、ドルソデューロ750も870mmとライダーを選ぶスペックしています。ただしV型エンジンという非常にスリムなパッケージは、乗ってしまえば細さを感じるでしょう。
大排気量スーパーモタードということで、日本ではかなりマニアックなスタイルでは有りますが、パワーと軽快感の両立を希望するライダーには非常に楽しめる一台です。特に日本のワインディングの様な細く入り組んだ所ではSSと並ぶ独特の面白さを堪能することが出来ます。