スーパースポーツのS1000RRと兄弟になるS1000R。カウルレスのネイキッドスタイルでよりコンパクトな見た目となっています。デザイン的にはよりスパイスの効いた刺激の強い物になり、いかにもハイスペックなバイクらしい外見ですね。
BMWが誇るスーパーネイキッド
ライトは左右異なる形状の2眼ライトでSシリーズらしさを感じさせます。左右のサイドカウルも形状を変えたSらしい仕様ですね。シート高814mmとスーパースポーツ並みの高さに、運転のしやすいバーハンドルを合わせる事で気持ちアップライトなポジションになっています。S1000Rにはクルーズコントロールが装備されたことで、速度の維持がより楽になっており、高速道路の様に長時間ハイペースを保つ必要が有るシチュエーションでも負担が少なくなっています。冬季用のグリップヒーターも当然標準装備されています。BMWではネイキッドバイクに対し、しばしばロードスターという表現をされますが、日常のツーリングモデルとして相当に練られたパッケージです。
スポーツ走行に高い適性を持つS1000Rには外装のオプションも豊富で、タンクカバーやフェンダー等カーボンパーツが多数用意されています。レーサーの様なよりスパルタンなルックスにして楽しみたい方にはぴったりですね。一方コンフォートシートやスクリーン等普段のツーリングを快適に楽しみたい方へのアイテムも揃っています。
S1000Rのエンジンは999cc水冷並列4気筒を搭載しており、そのピークパワーは156馬力/10000回転と非常に高出力なエンジンです。サーキットモデルのS1000RRとそっくり同じではなく、ストリートでの運用により適したチューニングをされています。圧縮比は12:1と少し引き下げて、9250回転で最大トルクを発生する様になっています。馬力は落としていますが、トルクはほとんど変わっておらず、むしろ低い回転で充実した厚めのトルクが出る仕様です。シフト操作にもアシスト機能が付いており、シフトアップ時のクラッチ操作は必要有りません。
フロントは320mmのダブルブレーキディスク仕様に4ポットのBremboキャリパーを装備しています。リアは220mmを採用し、キャリパーはこちらも当然Brembo製。カウルが少なく、足回りのボリューム感が引き立つ形になっていますね。
車重は207kgとエンジン側の出力も考慮すれば十分過ぎるくらい軽くなっています。もう一つ下の排気量のF800Rとほぼ同等で、より刺激の強い加速感を感じることが出来るのは間違い無くこちら。キャスター角もS1000RR比で小さくなり、フロントに軽快さを出す設計です。
BMWのライディングモードPROをシステム面に採用しており、それが車体の各部を機械的に制御しています。足回りではセミアクティブサスペンションのDDC(Dynamic Damping Control)を搭載し、走行状況に合わせた減衰特性をECUが計算して自動調節してくれます。バンク角やアクセル開度、走行速度は常にモニターされており、ダンパーの設定に反映されます。減速時にはASC(Automatic Stability Control)、加速時にはDTC(Dynamic Traction Control)が機能を発揮し、一般公道のグリップ力の低い路面でホイールが空転する様な状況になってもライダーを転倒から守ってくれます。前後輪の速度差を感知し、後輪がライダーの意図しない動きをすることを抑える仕組みです。