ヤマハのビッグオフ、XT660R。スーパーテネレ等大型のデュアルパーパスに比べるとこのクラスはまだ車両もコンパクトで、オフロードでの一体感を得易いほどほどなサイズ感をしています。
XT660R 2003-
XT660Rのフロントデザインは、モタードのXT660Xに比べるとライト上に小振りなスクリーンが付いています。スクリーンと言っても、あまり速度を出せないオフロード+この短さですから流石にツーリングセローみたいな防風効果は体感できないかもしれません。その他にはシュラウド、フェンダー等が形状変更されています。ヤマハの660ccには他にもアドベンチャーバイク然としたXT660Zが有りますから、こちらは敢えて本格オフロードのスタイルに仕上げられています。ハンドル部にはハンドルブレースが設けられており、剛性を確保しつつナビ等機材の後付にも対応可能です。フロントのブレーキキャリパーはBrembo製の2ポットキャリパーを採用しています。ディスク径もこの仕様に合わせ、298mmの若干小径な物になりました。
XT660Rでは660cc水冷単気筒エンジンを使用しています。47.6馬力/6000回転と比較的低い回転からパワーが有り、低回転を多用するオフロードにおいては頼もしい内容です。エンジン内のシリンダーにはセラミックコンポジットメッキが施され、鋳鉄スリーブが無い構造は放熱性に優れています。これらのエンジン性能はXT660Xと基本的に同一仕様です。このエンジンはハイテン鋼で出来たダイヤモンドフレームに固定されています。デュアル排気ポートから伸びたエキゾーストパイプはそのままリアの左右2本出しのマフラーへと繋がる仕組みです。シート高はわずかにこちらが低く、865mmです。それでもかなり高めのシート高ですね。ホイールはフロント21インチ、リア17インチとオフロード仕様のサイズになっています。ハードに山道を走破するなら断然こちらで、深い轍にタイヤを落としてもハンドルを取られず、脱出が可能です。キャスター角やトレール量、サスのストローク量もこちらの方が大きくなり、市街地での小回り重視だったXT660Xに比べると、オフロードでの安定感の有るハンドリングを目指しています。オフロード車ながらタンク容量は15Lと比較的大きい為、航続距離も長めです。パーツが一部換装された結果、車重はXT660Rの方が5kg軽く、181kgとなります。
オフロードでの使用を想定しているXT660Rは、純正品でアンダーガードやハンドガードといった車両保護のアフターパーツが用意されています。ハンドガードに付ける防風用のスポイラー等かなり芸が細かい印象です。その他キャリアを装着して積載性のアップも可能になっています。250ccサイズのオフロード車のパワーに物足りなくなった方にはかなり刺激が増して満足させてくれそうですね。パワーは余裕が有り、オンロードでの走行もそれなりにこなしてくれます。