ヤマハ伝統の2ストローク250ccレーサー、YZ250。今はモトクロスの世界でも4ストローク勢が強いですが、そんな中で未だに改良が続けられている一台です。
2ストローク250ccのハイパワー
スタイル的には2ストロークマシンらしく、チャンバーの張り出しが目立ちます。ヤマハブルーのシュラウドにはブロックパターンも描かれ、レーシーな印象。ホイールはフロント21インチ、リア19インチです。タイヤサイズはフロントが80/100-21、リアが110/90-19になっています。
フロントブレーキディスクは270mmに大径化したことで更に制動力がアップしました。48φの倒立フォークもYZ250仕様の専用セッティングが施されています。エア・オイル・セパレートシステムでカートリッジ内への空気の密閉を防ぎ、減衰力の応答性を向上した優れものです。足回りに関してはモトクロッサーらしく、飛距離の有るジャンプに対応する非常に剛性の高い物になっています。
YZ250のエンジンは249cc2ストローク水冷単気筒、更にヤマハの2ストロークエンジン向け排気システムYPVS(Yamaha Power Valve System)を搭載しています。排気バルブに可変バルブを設けて、高回転と低回転それぞれに最適な排気タイミングを実現する仕組みです。ボアストロークは66.4×72mmになります。キャブレターはKEIHIN製の38mmキャブレターを搭載しました。エンジンをマウントするのはアルミニウム製のダブルクレードルフレームです。モトクロッサーの馬力は公表されていませんが、2ストローク250ccともなると単気筒ながらダイノテストで50馬力近く出す様です。流石にこのレベルになるとモトクロッサーの扱いに慣れたライダーでないと容易に全開というわけにはいかなくなります。
競技専用のモトクロッサーの為、車重は大変軽い103kg。シート高は976mmと高いですが、軽量級の車体は片足でも支えやすくなっています。操作性の向上の為、フットレストも幅広の物を使用しています。クラッチレバーはライダーの体格に合わせられる調整式です。
こちらはYZ250をベースにしたエンデューロ仕様、YZ250X。変更点としては燃焼室の形状変更、圧縮比を下げる方向の変更、YPVSの作動もX仕様に調整されています。可変バルブの切り替えをより緩やかに直し、エンジンレスポンスをリニアな方向へ仕上げています。エンデューロでの走破性と扱い易さを重視しました。チャンバーもわずかに形状を変え、より車体中央寄りのスリムな形にしています。オフロード走行中のチャンバーの衝突・破損を防ぐ為です。5速MTもワイドレシオ化してより高速走行に対応できる様にしました。