先日マイナーチェンジが発表されたホンダのCBR1000RR。ヤマハやカワサキといったのライバルにやや遅れてしまいましたが、デザインも一新され、次世代のスーパースポーツに生まれ変わっています。
CBR1000RR 2017-
スタイリングは、まずライト形状が修正され、従来のCBR1000RRで見られた切れ長の形状から、現行CBR600RRに似た逆スラントノーズの様な形状を取っています。またフルLEDライトになったことで、フラッグシップらしい高級感を感じさせます。車体はRRらしく軽量コンパクトであることが踏襲されており、このモデルも従来より更に細くし、空力特性を向上させました。カラーリングはホンダが多用するトリコロールですが、より赤を多用した事で雰囲気を変えています。
サスペンションは前後オーリンズ製の電子制御式スマートECサスペンション。43φのNIX30倒立フォークとTTX36リアショックを搭載しています。ライダーの任意で減衰力の調整が可能な他、ECUで制御されるセミアクティブサスペンションとなっており、走行シーンに合った最適なセッティングへとアジャストしてくれます。ステアリングダンパーはHESD(Honda Electronic Steering Damper)が引き続き採用され、低速域から超高速域まで快適かつダイレクト感の有るフィーリングを感じさせてくれます。ブレーキはBrembo製のキャリパーをラジアルマウントで装着するスーパースポーツらしい設計です。全車標準装備のABSはジャイロアシストABSとなり、車体のバンク角やピッチングを計算して作動する新型になっています。サーキットでのハードブレーキング時に起きるリアホイールのリフトにも制御が入り、自慢の足回りが生み出す極めて強力な制動力を上手にコントロールします。
エンジンはレースレギュレーションに沿った999cc水冷並列4気筒。SBKで使用できる様にアクセル操作を電子制御のドライブ・バイ・ワイヤーとしたことが大きな変更点です。圧縮比は13:1と、先代よりも更に高圧縮化し、年々パワーアップしているライバル勢に対抗しています。カムカバーやイグニッションカバーは軽量なチタン材が贅沢に奢られました。クラッチ操作はクイックシフターで大幅に簡略化され、シフトダウン時も自動でブリッピングしてくれる優れものです。
フレームはアルミ製のツインスパーフレームで、サブフレームと合わせても600ccクラスと比べて遜色無い重量に軽量化されています。燃料タンクはCRF450Rでも採用されたチタン薄板を用いた軽量仕様です。マフラーも同じくチタン製で、MotoGPで蓄積したノウハウを投入しています。形状は先代のダウンショートマフラーに比べてかなりボリュームの有る物が装備されました。厳しくなる騒音規制への都合、より軽量な素材で車重を上げない工夫が感じられます。
こちらがノーマルグレードのCBR1000RR SP。一般向けに広く手に入るのはこちらのモデルになるかと思います。電子制御サスペンション等最新鋭の装備も装備されていますし、一般のライダーはこのモデルでもほとんど不満は感じないでしょう。
こちらが上位グレードのCBR1000RR SP2。サイドのブルーのラインが明るくなった他、ホイールもマルケジーニ製のよりレーシーなデザインのホイールに変更されているので、見分けは付きやすくなっています。エンジンのシリンダーヘッドも変更され、吸排気系がより大型化されました。SP2の立ち位置としてはラグジュアリーな上級仕様というよりは、レースユースの台数限定ホモロゲーションモデルと位置づけられています。サーキット走行特化のライダーは多少高くてもSP2となりそうです。
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トータルコントロールというホンダらしい扱い易さをフラッシュアップしたコンセプトですが、やはり本領が発揮されるのはサーキット。今回のモデルチェンジもパワーアップしていくライバルに対抗するのが目的なわけです。
2017シーズンのSBKでは早速レッドブルカラーの新型CBR1000RRが出走しています。カワサキやドゥカティに押されがちなホンダでしたが、今後はより上位に食い込むことが期待されます。