Illustration by 神崎
スズキが250ccでSSを出すらしき噂はかなり前から有りましたが、まさか125ccクラスを先に投入するとは良い意味で予想外でした。それもYZF-R125やRC125を仮想敵にする本格的なスポーツバイクです。
GSX-R125 2016-
125ccのスポーツバイクというのは、現行スズキのラインナップから欠けていた部分で、ラインナップを補完する一台としては非常に魅力的です。それもコスト重視のそれなりの性能ではなく、クラス最高を目指した本格派で、スズキファンには嬉しい一台と言えます。
GSX-R125のスタイリングは今時のスズキらしい鋭い単眼ライトかと思いきや、正面から見るとGSX-R750等の往年の角目レーサーの雰囲気も若干残しています。しかも125ccとしては珍しいLEDが奢られた仕様です。MotoGPカラーの施されたフルカウルも空力特性を重視し、限られたパワーで最大の加速性能を発揮出来る様に設計されています。
車体サイズは2000×700×1070mmで、250ccよりも一回りコンパクトです。小さく、とにかくコーナーリングに強いマシンを求めるライダーには最適なマシンになっています。
サスペンションはフロントが正立式テレスコピックフォーク、リアはリンク式のモノショックとスポーツバイクとしてはスタンダードな内容です。ブレーキも最初から前後ディスクブレーキで、アジア向けに販売されているジクサーSF等に比べると走行性能重視なのは明らかですね。
ホイールは前後17インチ。タイヤサイズはフロントが90/80-17、リア130/70-17となっています。フロントはやや細めで、その分コーナー入り口ではスッとバイクが倒れて気持ち良く曲がれそうです。タイヤはこのサイズならDUNLOPのTT900GP等、ハイグリップなタイヤが履けるので、国内のスポーツユーザーでも不足は有りません。
ポジション的にはシート高に対し、ハンドル高の低いSSらしいポジションになっています。ただしあくまでエントリークラスなので、リッターSSの様なレーサーそのものなポジションにはなっていません。シート高は785mmとライバルと比較しても異例の優しい数字です。これなら日本人でも足付きにそれほど不安を感じないでしょう。
ホイールベースはかなり短い1300mmで、旋回性は非常に優れる車体です。ワインディングの様な低速コーナーの続く道でも十分なコーナーリング性能を発揮してくれます。GSX-R125は全体的にコンパクトなボディにまとまっているので、初めてバイクを購入するエントリーユーザーにも自在に操る楽しさを感じさせてくれそうです。
エンジンは125ccの4ストローク水冷単気筒。スズキはこのクラスのスポーツバイクに空冷エンジンを使うケースも覆いのですが、GSX-R125は性能重視でしっかりと水冷化されました。エンジン出力は15馬力/10000回転で、このクラスで搭載できるフルスペックエンジンとなっています。馬力的には他社でも達成が容易な為、大きく差別化出来ませんが、その分スズキはパワーウェイトレシオに優れるマシンに仕上げました。元々マシンの軽量化というスズキの得意分野で、GSX-R125は他社を圧倒する134kgに設計されています。ホイールもエントリークラスとしては豪華なアルミホイールですし、このクラスで最高のマシンを造る、というスズキの意気込みが感じられます。燃料供給はFIの為、ヨーロッパの規制もクリアしており、国内の規制も問題無く通ります。トランスミッションは6速MTを採用しています。
小排気量クラスであまり存在感を発揮できていなかったスズキですが、久しぶりに面白いマシンが出てきました。YZF-R125等と競合するだけの性能、おまけにキーレスシステム等高機能にまとめたので、実際の価格が心配されましたが、40万円ほどとそれほど無理の無い価格になっています。125ccとしては高い!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、近年250ccクラスが70万円台に突入するなど急速に高価格化しているため、結果的に125ccが相対的に安く見える様になりました。国内ではネイキッドのGSX-S125のみ先行投入されましたが、モーターショーなどへの出展も多く、今後の展開が期待されます。