2016年に発売の決まったホンダの新型SS、CBR250RR。コンセプトモデルの雰囲気をかなり引き継いでおり、それまでこのクラスで活躍してきたCBR250Rに比べると断然スポーティな見た目になっています。
CBR250RR (MC22) 1990-
軽量コンパクト・更にスポーツバイクとして十分な排気量、そして維持費の安さとユーザーに好まれる要素の多いのは今も昔も変わらない250ccで高次元ヒューマンフィッティングをコンセプトに開発されたのがMC22型CBR250RR。
CBR400RRと同時期に開発されたことで、こちらも外見はスポーツレプリカそのものです。250ccながらブレーキが276mmのダブルディスクになっているのもこの頃の250ccスポーツの特徴ですね。ホイールには6本スポークのキャストホイールにグリップ力の高いラジアルタイヤを装備したことでコーナーでの限界を高めています。それに伴いフレーム剛性もCBR250Rに比べ数段高く設計されました。基本的に運動性能重視で設計されたマシンですが、一方でライダーがライディングしやすいマシンとしてシート高を735mmに設計し、足つきも良い車体となっています。
エンジンは249ccの4ストローク水冷直列4気筒MC14E。ボアストロークは48.5mm×33.8mm、圧縮比は11.5:1です。バルブの動作にホンダのカムギアトレーン機構を採用することで高回転でもバルブの駆動を正確に行えたホンダのエンジン、加えて小排気量の4気筒で高回転まで良く回るということも有り、その出力は45馬力/15000回転、後期型で40馬力/14500回転と流石に高出力です。レッドゾーンは19000回転からと、現在の250ccスポーツバイクではお目にかかれない高回転型エンジンを搭載しています。
当然市販車の中でも一際高回転志向が強いということも有り、高負荷時も挙動の安定するフルバランス・クランクシャフトを内蔵しています。またこの頃のCBR250RRは燃料の供給にキャブレターを使用していますが、ピストンにT型ピストンを使用することで幅広い回転域で安定して混合気を送り込めるようになっています。
フレームはLCGツインチューブフレーム+ガルアームのスイングアームで構成されています。ガルアームは排気系のレイアウトに自由度が有り、マスの集中化を図り、運動性能を高めるために採用された物です。
最高速も180km/hオーバーということで、現代のバイクと比較しても引けを取らないどころか替えの効かないバイクとなりました。
カスタムベースとしても非常に人気の有るところがMC22型の特徴で、有名どころではCBR600RR風に外装をチェンジしたり、あるいはホンダのワークスマシンRC211Vライクに着せ替えたりということも可能です。丸目2灯は今ではクラシカル過ぎるというライダーにはこういったカスタマイズも有りかと思います。
CBR250RR (MC51) 2017-
スタイリングはSSらしくスポーティさを強調する鋭角な仕上がりになっています。フロントフェイスの他、リアシート周りも大胆なスポイラー形状を取っており、クラスを超えた質感を表現していますね。また見た目に合わせて、装備面も非常に豪華になっています。これはCBR250Rというスポーツバイクを既にホンダが持っていた分、スポーツ走行を好むライダーをターゲットにした思い切った仕様にしやすかったということが考えられます。
足回りは現在のクラスとしては珍しく倒立フォーク仕様になり、リアは5段階の調節機能付きのモノショックを搭載しています。スイングアームは軽量なアルミで作られている他、排気系の取り回しを重視してへの字状のガルアーム構造という先代を踏襲する作りをしています。ブレーキはディスク数こそ前後シングルディスクですが、CBR250Rに比べると310mmと240mmに前後共大型化されました。放熱性に優れるウェーブディスクのおかげで見た目もスポーティになっており、ゴールドのキャリパーと合わせてルックス面にも抜かりは有りません。ホイールは前後17インチ。タイヤ幅は110/70-17と140/70-17で、CBR250Rと同サイズの為、ハイグリップタイヤの入手性は高いと言えます。
CBR250RRでは、エンジンに249cc水冷直列2気筒を採用しました。これはライバルが多気筒エンジンでハイパワー化していく中、自然な流れといった感じです。ボアストロークは62×41.4mmと一際ショートストロークに設計され、高回転高出力志向に設計されています。圧縮比も11.5:1と、これまた高圧縮仕様です。気になる最大出力は38.7馬力/12500回転で、ハイスペックで先行していたYZF-R25を追い抜きこのクラストップの出力を獲得しました。
またCBR250RRではスロットル部分をドライブ・バイ・ワイヤー化することで、3モードのライディングモードに対応したのが大きな特徴です。出力的には一般ライダーでも十分に扱えるこのクラスで敢えて取り付けたのは、強化されたパワーがウェット路面等滑り易い場面で仇とならない様ホンダが配慮した物と思われます。また出力特性を調整する事で、街乗りの快適性を保つなど、コストはかかりますが乗り心地を高める工夫が盛り込まれています。
価格は75万円をベースにABS仕様で80万円程と、250ccの中でも非常に高額でミドルクラスの大型バイクの価格帯です。国内市場の人気だけではこれだけコストのかかった250ccバイクを新規に作ることは出来なかったはずなので、アジア地域全体のバイク人気のおかげと言えます。
流石に4気筒というわけにはいきませんでしたが、小排気量の多気筒エンジンを積んだSSを待っていたホンダファンの期待に応える、最新装備の多数盛り込まれた一台に仕上がっており、国内に本格導入される来年以降、市場で大きな注目を集めそうです。
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コンセプトモデルの頃からブラックボディを押していたこのバイクですが、250ccというエントリークラスの排気量でもしっかりと高級感を意識した外観になっています。
またCBR250R同様、この新しいCBR250RRにもレースベース車が設定されました。サーキット走行用にヘッドライトやウインカーなどの保安装備を取り除き、マフラーやステップが交換されています。レース用ですからシングルシート化されており、一層SSらしい見た目になっています。
ホンダはこれでエントリークラスにNSF250R、CBR250RR、CBR250R、GROM、NSF100とかなり幅広いラインナップのレースベース車を持つことになります。NSRminiなどサーキットで稼働中の車両はもう少し多くなりますし、国内のロードレースの人口や規模を考えるとこれは多過ぎるかもしれません。流石に2018年以降整理が進みそうです。市販の250ccを使用したレースでは今回のCBR250RRが主流になっていくのではないでしょうか。