フォルツァ125はヨーロッパ市場向けにホンダが販売している125ccクラスのスクーターです。ホンダが先進国向けに最高のプレミアム125ccスクーターを作ろうと利便性やデザイン、エンジン性能を重視し、長距離を高速で巡航するグランツーリスモ的な乗り物としても使いやすいパッケージになっています。
Forza125 2015-
比較的後発の125ccスクーターということも有り、デザインはとてもモダンで洗練されています。同クラスのPCXと異なるのは、最初から大型のウインドスクリーンが付いていることです。機能的にも6段階、120mmの範囲で調整可能で、防風性の高さが魅力です。
顔立ちはキリッとした精悍さで、コストに制約の多い125ccにありがちな安っぽさは感じられません。ヘッドライトは125ccとしては珍しいLEDライト仕様。テールランプも含め、灯火類はLEDが積極的に利用されています。ウインカーもミラーにビルドインされており、高級感はエントリークラス離れした物があります。
シート下がラゲッジスペースになっているのは通常のスクーターと同様です。フォルツァ125の場合、48Lとフルフェイスヘルメットが2つ収まるだけの広いスペースを確保されています。これは250ccのビッグスクーターレベルの容量なので、積載性を重視するユーザーには非常に好印象なポイントでしょう。更に容量が必要な方にはオプションに35Lのトップケースが用意されています。フロントのグローブボックスには12Vの電源端子も設けられているため、走行中のモバイル端末の充電が可能です。
メーターは2連のアナログメーターに時計やトリップメーターを統括する液晶メーターが配置されています。メーターもシンプルになる傾向の有る中で、中々ラグジュアリーな雰囲気を放っています。
コミューターとしての燃費性能は43.5km/Lと小排気量らしくエコロジーです。アイドリングストップ機能のおかげで街中での燃費も良好です。燃料タンクの容量が11.5Lというのはこのクラスのスクーターとしては大容量ですね。フォルツァ125を設計する際、ユーザーの給油回数を一週間に一度以下に抑えることを目標に、フル給油で500km走行できる様に設計されています。
足回りもPCXに比べると豪華で、256mmと240mmのシングルディスクを使用した前後ディスクブレーキ仕様です。サスペンションはフロントにテレスコピック式の33φ正立フォーク、リアにツインサスを装備します。
ホイールはフロント15インチ、リア14インチの鋳造アルミホイールで、星型のスポークは洗車時大変かもしれませんが中々お洒落です。タイヤサイズはそれぞれ120/70-15、140/70-14を装着します。17年モデル以降はミシュランに銘柄を変更しました。
エンジンは125ccの4ストローク水冷単気筒。ボアストローク54.4mm×57.9mm、圧縮比11.05:1となっています。最大出力は15馬力/8750回転、最大トルク1.27kg・m/8250回転に設計されており、125ccとしての制限値まで出力を高めたエンジンです。
小排気量ながら高速道路での走行が想定されており、90km/hを超えた速度からでも更に力強く加速するようにセッティングされています。トランスミッションは無段階変速のCVTとなっています。
見た目通り車体も大きめで、全長2135mm×全幅750mm×全高1455mmとなっています。シート高は着座しやすい780mmです。車両重量は小排気量のスクーターとしてはかなり重く、159kg有ります。
フォルツァ125の特徴として、ホイールベースが1490mmと125ccスクーターとしては例外的に長く、大型バイク級のロングホイールベースです。シティコミューターとしての小回りの良さに加え、高い直進安定性を持たせることでロングライドで疲れないマシンを目指しています。125ccスクーターは小さく軽いため街中での取り回しに優れていますが、どっしりとした安定感では大型バイクに敵いません。しかしフォルツァ125は125ccでも優れた航続性を追求したスクーターです。
更に2017年モデルはEURO4に合わせて改良が加えられ、サスペンションの再セッティングやスマートキーに対応したことでキーを差し込まずに素早く始動させることが出来るようになりました。
作りの良さが魅力のフォルツァ125ですが、価格もその分高く約60万円ほどで推移しています。平均的な125ccスクーターが30万円前後であることを考えると、かなり高価なスクーターです。Forzaブランドを使っていることからもわかる通り、「ホンダに出来る究極の125ccスクーター」を目的としているため、高価格な設定となっています。品質重視の高付加価値な125ccは現地のヨーロッパメーカー、あるいは日本メーカーでいうとヤマハ辺りが強く、ホンダはどちらかというと小排気量モデルは台数の出るアジア向けを先進国でも売っていくスタイルでした。そういう意味ではフォルツァ125は珍しいモデルと言えます。
実際日本でも人気の有る同社のPCXやヤマハのNMAXに比べると倍近く、250ccのビッグスクーターとそれほど差がありません。その辺りも国内導入されない一つの理由でしょう。ただし税制面の優遇処置が有る原付二種のため、どうしても欲しい方はレッドバロン等で取り扱いが有ります。常に在庫が有るという状況ではないので、近くに新車が有る様なら凄くラッキーですね。