AraiからVectorシリーズの新型モデル、Vector-Xが発売されました。最上位のツーリングヘルメットASTRAL-Xの機能を一部引継ぎつつ、価格もそれより多少抑えたミドルクラスのヘルメットです。
新型のデュアルフローダクト
まず見た目ですが、ヘルメットのセンターダクトの配置など旧型のVectorの雰囲気は残されています。フロントベンチレーションは前後2穴のデュアルフローダクトになり、前側単体で空気をヘルメットの外へ流すように空気の流れが調節されました。またエアロパーツとしての特性にも優れており、RX-7Xのディフューザーに劣らない働きをしてくれます。
ダクトは2系統備わっており、ライディングポジションで吸排気のダクトが切り替わる仕掛けです。ネイキッドなど直立気味のポジションの場合は前述のデュアルフローダクト、スーパースポーツのような前傾姿勢をライダーが取っている場合は後方のデュアルフロースポイラーのダクトから吸気を行います。
日光に対するシールド機能としては、先だって発売されたASTRAL-Xの特徴だったVAS-Vプロシェードシステムがオプション扱いになり、VAS-V MVシールドになっています。標準仕様では視認性に優れるクリアーが装備されているため、夏場の強い日光の下ではスモークシールド(各4500円)かプロシェードシステム(7000円)に換装した方が良さそうです。
内装はRAPIDE-IRまでが冷・乾内装を採用していたのに対し、Vector-Xは上位モデル譲りのエコピュアー素材を使用しています。ヘルメット装着時にかいた汗を弱酸性に変えるpHコントロール機能により、あせもや肌荒れといった症状を防ぐ肌に優しい素材です。更にRX-7X EPフルシステム内装によりライダーの頭部形状に合わせたパッド調整が可能など、内部には上位モデル相当の機能が盛り込まれているのが特徴です。
ネックパッドは巻き込み風を防止するため、適度に厚みを持たせていますが、オプションのESチンカバーⅤを装着すれば更に静粛性をアップさせることが出来ます。
余談ですが、このモデルの内装にはインカムのスピーカー用スペースが設けられているので、素材として堅いスピーカーユニットを追加しても痛みが無いように設計されています。
価格は無地が約4万4000円、グラフィックモデルが約53000円に設定されています。
既に発売から時間が経過し値段がこなれている同社RAPIDE-IRに比べると一段高い値段設定です。問題は現在ASTRAL-Xの値段が順調に下がってきており、スモークシールドも別途買いますと両者に値段の差がほぼ無い状況です。向こうはツーリングモデルの事実上のフラッグシップのため、高機能盛り沢山ですし、プロシェードシステムに違和感が無いなら、Vector-Xのコストパフォーマンスはちょっと良くないかもしれません。元々1万円ほどしか値段の差が無いというのも大きいのですが、まだそれほど値段の下がらない新型にはちょっと不利な状況です。