新型モンスターシリーズの入門機として登場したモンスター696。フレームやエンジンはリニューアルされ、新シリーズの口火を切るに十分な性能を実現しました。
Monster696 2008-2014
Monster696は796、1000と続いていく第二世代型モンスターシリーズの最初に販売されたスポーツネイキッドで、エントリークラスとして100万円を下回る価格に設定された戦略的なモデルでした。丸目ライトをアレンジした特徴的なヘッドライトやトラスフレームなどは、現行のモンスターシリーズにも繋がるデザインです。
695の時代から両出しマフラーやトラスフレームといった基本の構成は受け継いでいますが、どちらも形状を大きく変えることでよりエレガントなシルエットに生まれ変わっています。
フロントサスペンションは初期型がSHOWA製倒立フォークを採用し、2011年モデル以降はマルゾッキ、また2013年モデル以降からマルゾッキからKYBに換装されています。リアサスペンションはザックス製のモノショックです。696のデザインは他のモンスターと共通点が多いのですが、スイングアームは他と異なり、両持ち仕様となっています。
ブレーキはフロントに320mのダブルディスクと4ピストンラジアルマウントキャリパー、リアに245mmのシングルディスクと2ピストンキャリパーを組み合わせています。ホイールは前後17インチでタイヤサイズはフロント120/60-17、リア160/60-17。後年はピレリのANGEL STが標準装備されています。余談ですがこのタイヤ、浅く彫り込まれた天使のトレッドパターンが使っていく内に・・・というピレリの遊び心が反映されたユニークなタイヤでした。
エンジンは696cc空冷L型2気筒。ボアストロークは88×57.2mm、圧縮比は10.7:1に設計されています。燃焼室形状、ピストンの変更を受けて最高出力は国内仕様、本国仕様共に80馬力/9000回転、最大トルクは7.0kg・m/7750回転に上昇しています。またクラッチには湿式のAPTCが標準装備されたことでタッチが軽く、シフトダウン時の安全性も高いです。大胆な意匠が特徴的なフレームは、クロモリ鋼のトラスフレームにアルミ製のサブフレームが組み合わさっています。
車両重量は乾燥重量161kgで、すぐ上の排気量の796と比較しても8kg軽い仕上げです。シート高も770mmとシリーズの中では一番低く、ユーザーフレンドリーな車体となっています。またオプション設定でデータロガーのDDAにも対応しています。
Monster696+ 2008-2010
ベースグレードの696にメーターバイザーとシングルシートカウルを装備した上位グレードがこのMonster696+です。ライト上にチョコンと乗ったバイザーはスクリーンとしての効果はそれほど期待できませんが、696の外観をよりスポーティに魅せることに貢献しています。
より安全性の高いABS仕様も導入されましたが、国内に関しては2011年以降Monster696に一本化されています。価格差としてはベースグレードと比較して約5万円アップする形ですが、その分スポーティな見た目に磨きを掛けています。