こんにちは、MOSです。
手軽に対象のカラーリングを変える手法としてラッピングは、市販シートのクオリティアップも幸いし大分定着した感が有ります。
ラッピングシートは非常に柔軟性に優れるため、自動車のボディ全体をカバーしてカラーリングを変更したり、サイドミラーやボンネット、バイクのカウルまで幅広い用途に使用出来ます。
小さい物なら業者に頼まずDIYで施工することも可能です。塗装と違い、表面に被せるだけで簡単に戻せるというのもメリットが大きいです。これを書いている私も同じ物を複数回施工したことが有りますが、そういうことが気軽に出来るのもラッピングならではです。
目次
ラッピングのメリット
先ほども書いた通り、ラッピングの最大のメリットは戻せることです。
基本的にラッピング対象には何もしていませんので、剥がせば全て元通りになります。むしろラッピングシートが保護層となり、塗装の色あせや汚れの付着を防ぎます。市販のラッピングシートから糊残りの少ないものを選べば、後処理も簡単です。純正状態に戻せる為、下取り価格も高く付き易い傾向に有ります。
塗装と異なり、DIYでも表面をムラ無く仕上げることが容易です。特にパール系やサテン系のカラーは塗装で仕上げるのは非常に難しいのですが、ラッピングなら比較的実現し易くなっています。同様にカーボン柄など塗装とは明らかに異なる仕上げにも対応可能です。
痛車の様なイラストを印刷して貼り付けるといった複雑な施工も、今は印刷から施工まで請け負ってくれる対応してくれる業者が多く、バイクくらいのサイズなら10万円も有ればかなり凝ったオリジナルのデザインにラッピングできます。
DIYの難易度は高いの?
部分的なラッピングは簡単なケースも有りますが、全体を覆ういわゆるフルラッピングはかなり難しいです。なのでいきなりフルラッピングから始めるのは、ハードルが高いです。
簡単な具体例としては自動車のボンネットやルーフが初心者でも何とかラッピングできる部分です。難しいのはバンパーで、ショップにお願いした方が楽で早いことも有り得ます。
バイクではカウルやヘルメットをフルラッピングするのが非常に難しく、市販のデカールキットなどはかなり多数のパーツに分割することで施工しやすくしています。ただしイラストをサイドカウルに貼る位ならDIYでも十分対応できます。
必要な工具
基本的に素手で作業可能ですが、工具が全く必要ないわけでは有りません。ここではラッピングに必要なアイテムを並べてみました。
スキージー
スキージーは広い面を綺麗に効率よく仕上げるために必要な道具です。気泡を押し出す力が強く、スムーズな作業が可能です。初心者がまず持ちたいアイテムですね。
滑りを良くすること、シートに過度な負担をかけないことを目的に先端にフェルトが貼られています。あり合わせの材料で代用する時は布でもゴムでも良いので、何か噛ませましょう。
複雑な凹凸に使うのは難しいですが、ラッピングの面積が広い場合は、やはりこれが有ると便利です。細かい作業には100均の粘土ベラも代用できます。
ラッピングシート
貼り付けるシートはうちでは3Mの1080シリーズをおすすめしています。近年、より傷が付きにくくなった2080シリーズも登場し、今買うなら世代の新しいこちらがおすすめです。
業者に印刷を委託した場合、シートの素材を完全に選ぶことは難しいですが、エア抜き用の溝が付いていること、3次局面に対応していることを確認してから発注すると間違いが有りません。基本的には、お店がいくつか提示する中で、上位グレードほど作業性や発色に優れると思ってください。
これらは非常に薄く伸びの良い素材で、バイクのカウルの様な複雑な面に貼り付けるには最適です。Amazonでも買えますが、楽天の方が小分けに販売されており、必要なサイズを調達しやすいです。
カラーは非常に豊富でグロス、メタリック、ブラッシュド、サテン、マット、カーボンと艶や柄毎に取り揃えられています。マットやブラッシュド、マジョーラは純正カラーにあまり無い分、カスタムカラーとしても面白いですね。
ただしカーボンに関しては他のシートより厚みが有り、伸びづらい傾向が有ります。フェンダーやサイドミラーなど曲面の多いパーツをラッピングするのが難しい素材です。
これを使うならヒートガンなどシートを加熱する機材が必要になります。また柄物は上手く貼り合わせないと柄がちぐはぐになるため、少し多めにシートを用意すると安心です。
またエアフリーとなっているシートは気泡の抜けが良く、綺麗に仕上がります。
デザインナイフ
ラッピングシートを任意の位置でカットするためにはデザインナイフが必要です。
有名どころではOLFAが切れ味に優れ、楽にカットすることが出来ます。細部を整えたり、仕上げ工程で重宝するので、一本持っておくと良いです。カッティングステッカー作りにも使えるため、デザインナイフは重宝します。
その他、ナイフレステープもおすすめのアイテムになります。ラッピングシートの下に貼って、仕上げにテープの中のワイヤーを剥がすことでシートをカットするテープです。デザインナイフでは傷が付きそうなところには、これを使用します。
広い面を綺麗にカットするならデザインナイフより使いやすいです。ボディの形状にもテープがなめらかにフィットするため、波状のカットにも強いです。
フィニッシュラインはラッピングシートが2枚重なっていてもカット出来る切断力が高いテープで、直線的なカットに適しています。カーブのカットに適したデザインラインというテープも別に存在します。バイクのカウルメインならそちらでも良いかも知れません。
ヒートガン
ヒートガンを使うとラッピングシートが曲面に沿って柔軟に伸びてくれます。また皺になったシートにかかっているテンションをほぐすにもヒートガンで温めてあげると簡単に取れます。
ラッピングシートは最後にヒートガンで温めて冷める工程で、対象の形状を記憶し硬化する特性を持っています。そのため、仕上げにヒートガンを掛けると剥がれ難くなります。
3Mの1080は薄いため、家庭用のドライヤーでも柔らかくなりますが、やはりヒートガンは火力が違いますね。
施工中のポイント
裏面まで折り返す
ラッピングシートを貼ったとき、縁でカットせず、縁の裏側まで巻き込むように折り返してください。
これを忘れると端から徐々に剥がれてきて、ラッピングが長持ちしません。特にDIYで施工してすぐに剥がれてしまうのはこのケースが多いです。
裏面に1cmほどシートを伸ばすだけでも耐久性はかなり向上しますし、下地が見えないのでクオリティアップします。
むやみにカットしない
ラッピングシートは表面に押さえつける力以外に、横方向へ引っ張る力がかなり作用しています。その状態でカットすると時間の経過と共にシートが伸縮して下地が見えてしまう可能性があります。
特に車のエンブレムの上から被せてロゴ部分だけカットするような場合は要注意です。この場合は事前にシートを良く暖めてシートに加わっている力をほぐしておかないとカットしたところを中心にシートに皺が寄ってしまいます。
カットするのは本当に必要最低限のポイントに留める様にしましょう。
シート同士を貼り重ねる
例えばサイドミラーの様な半円形の対象物を一枚でラッピングするのは難しいです。
そういう場合はシートを何枚かにカットし、分割して貼っていくことで皺無くラッピングすることが出来ます。このとき、シートの端と端を5mmから1cmほど重ねると端から剥がれることを防止することが出来ます。
これは曲面がきついほど重要なテクニックです。
曲面では分割する
例えば凹状のパーツは、ラッピングしても溝の底からシートが浮いてしまうことが多いです。これに対応するには溝部分に合わせてシートをカットするか、ヒートガンで良く暖めるかのどちらかです。
しかしヒートガンの加熱も完璧では無く、樹脂パーツを傷める可能性も考えると、分割した方が無難です。ちなみにヒートガンはABSなど熱可朔性の有る樹脂を溶かす火力があるため、使用する樹脂によってはあまり長く熱をかけないようにしてください。
印刷はどこに頼めばいいの?
無地や総柄なら市販品をそのまま購入するだけで事足ります。しかし痛車などイラストや写真を印刷しようとすると大型プリンターを保有する専門業者へ依頼するのが一般的です。
このブログでは神奈川ののらいも工房さんに印刷をお願いしています。SUPER GTのグッドスマイルレーシングの施工もここで行われており、技術力の面で非常に信頼しています。個人の小ロット印刷にも対応してくれる有り難いショップです。ただし、施工まで全てお願いするなら地元のショップを探したほうが良いかも知れません。
時期にもよりますが、印刷から納品まで1週間から10日くらいです。
過去の作例
最後に過去にラッピングで制作したものを数点アップしておきます。このレベルまではDIYで何とか可能、という例です。
レーシングストライプは定規とナイフで容易に作成できますが、どのバランスが良いかは自分のヘルメットと現物合わせするのがベストです。
Araiなど一部シールドカバーを取り外せるヘルメットは、基本的に外して施工します。ヘルメットに固定した状態で貼ろうとすると返って細かい皺が残る為、継ぎ目がずれない様に慎重に作業します。
本格的なヘルメットのラッピングを始める際はこちらの記事に更に詳細をまとめています。
パニアケースは平面が多く、ヘルメットに比べると施工時間そのものは短めです。
これに関してはナイフレステープで最後にカットするよりも、型紙を作って最初に希望の形に切っておくと仕上がりが綺麗になります。
車体そのものへのラッピングに関してはこちらの記事を参考にして下さい