先代CB1000Rはホンダのラインナップの中でもあまり目立たない存在でした。CBR譲りのエンジンを搭載したストリートファイターという点では他社に劣らないのですが、ヤマハやカワサキなどと比べると国内展開も無く、存在感を発揮できていなかったのが現実です。しかし各社大型ストリートファイターが充実する中、ホンダも本腰を入れてフルモデルチェンジを行いました。
CB1000R 2018-
スタイリングは丸目のLEDヘッドライトがクラシカルな雰囲気を持つ一台で、同時期に発表された小排気量のCBシリーズと近い雰囲気になっています。ただしCB1000Rは大排気量の4気筒エンジンを搭載しているため、車体下を走るエキゾーストパイプを含むマフラー造形で大きな差を作っています。
今回のCB1000RのデザインはNeo Sport Cafeをコンセプトに製作され、RRのスポーティさとは異なる方向性を追求しています。全体的にメタリックな高級感を意識しており、樹脂の外装パーツはフェンダーなどを含め6つしか使われていません。車体サイズは2120×789×1090mmで、ホイールベースは1455mmです。RRと比べるとホイールベースはかなり長めに取られていますね。
サスペンションはフロントにSHOWAのSFF-BP(セパレート ファンクション フォーク ビッグ ピストン)が搭載されています。SSに多用されたビッグピストンフォークと、オフロード用のセパレートファンクションフォークの合わせ技で、運動性能重視の大型バイクを中心に採用されているフォークです。ビッグピストンによる応答性の良さと、ダンパーとスプリングを左右に振り分けたことによる軽量化が持ち味です。リアもSHOWA製のフルアジャスタブルのモノショックが装着されています。また新型CB1000Rは先代同様、片持ちスイングアームを採用します。ただしスイングアームは14.7mm短縮された新設計のものです。ホイール形状が先代の手裏剣状の4本スポークから、CB1000RRの様な細いスポークのキャストホイールになっており、外見的には完全に一新されました。
ブレーキは310mmのデュアルディスクとトキコ製4ピストンラジアルマウントキャリパー、リアは256mmのシングルディスクと2ピストンキャリパーのセットです。
前後オーリンズとブレンボだったCBR1000RRに比べると、CB1000Rは足回りのパーツをほぼ変えられている印象です。
ホンダのバイクとしては珍しいアルミ製のテールユニットが装着されており、リアホイールにナンバープレートを配置する構造を取っています。おかげでリアシートにはフェンダーが無く、シート周りをコンパクトに魅せる効果が有ります。ホイールは前後17インチのままですが、リアタイヤが190/55-17と若干太く修正されています。フロントタイヤは120/70-17と前回同様のサイズです。
エンジンはCBR1000RRをベースに専用チューンを受けた998cc水冷4気筒を使用します。ボアストローク75×56.5mm、圧縮比11.6:1で、CB1000Rでは少し圧縮比を落としていますね。最高出力は145馬力/10500回転、最大トルクは10.6kg・m/8250回転となり、先代に比べると20馬力ほどパワーアップしています。CBRと比較すると、低中速のトルクをかなり太くしているのが特徴で、より低い回転数からでも厚いトルクが発生するようになっています。そのため、街中で追い越しを掛けたりといった一時的に大きく加速するシーンで力強い特性を示してくれます。
更にCB1000Rではスロットルバイワイヤーが追加され、3つのライディングモードが設定されています。内容はRAIN、STANDARD、SPORTの3つで、エンジンパワーやリアタイヤのトルクを制御するHSTCを段階的に調整します。
加速性能を高めるためのギアのローギアード化、更に車両重量も212kgと10kg軽量化されているため、これまでよりも強い加速感をライダーに与える仕様です。
CB1000R+ 2018-
新型のCB1000Rには、追加装備を施したCB1000R+というグレードが新たに設けられました。こちらはクイックシフターやグリップシーター、シートカウル、アルミのメーターバイザー、それに収納性を向上させるシートタンクなど内外装の追加装備を付けた特別仕様です。
メーターバイザーなど見た目の差異はわずかですが、よりスポーティさを強調したグレードになっています。