こんにちは、MOSです。
前回の記事で「シルクスクリーンの製造設備も欲しいな…」と思ってトライしたのですが、思いの外制作が難航して結局新規に設備を作ることになっちゃいました。
今日はそれを順を追って紹介していきます。
目次
シルクスクリーンをやろうとしたが…
前回の記事でチラッと書きましたが、熱転写シートによるヒートプレス方式だとロゴは出来るけど写真や絵をプリントすることは出来ません。
またインクを生地に染み込ませるほうがTシャツ生地への一体感も強くなるので、技術としてのシルクスクリーンを体得してみようと考えました。
シルクスクリーンのおさらい
シルクスクリーンとはステンシルのお仲間で、スクリーンメッシュにインクを通すところと通さないところを作って対象にプリントを施します。
一般的にスクリーンメッシュには薬品を塗布して固化させるのですが、実はカッティングシートを上から貼っても代用できてしまいます。要はインクを通さない膜が出来れば良いわけですので。
スクリーンメッシュとインクさえ買ってこれば今の設備と材料をそのまま流用できるので、僕は薬品を使わずカッティングシートを使おうと決めました。
カッティングシートでシルクスクリーンをやろうとした、最初のステップはまずここです。
細い線の加工が出来なかった…
しかし実際にカッティングシートを切り出すと、1mm以下の細い線を切り出していくのはかなり大変という壁にぶち当たりました。
シルクスクリーンはディティールの細かいイラストにも使えるのですが、今のカットの精度だとその良さを全然生かせそうにありません。
やっぱり薬品で固める方向に
さて、ここでこの記事の一番重要な部分に入ってきます。
カッティングシートでは細かい線が出せないということになったので、一般的なシルクスクリーンのスタイルに戻ることになりました。
シルクスクリーンに塗布した薬品を露光して固めないといけないのですが、専用の露光機が必要です。スクリーンの露光を業者にお願いすると1枚5000~10000円くらいして結構高いので、ここは簡易的に露光機を作ることにしました。
材料はあり合わせを流用
ただし自宅で行うDIYでは新規の設備を置くスペースとか色々厄介な問題が発生してきます。商業用の露光機は安く買えるのですが、凄く大きいので躊躇しました。そこで既存設備をベースに露光機に転用することにしました。
まず使ったのはこれ。真空注型の加熱釜のフタです。
今回のDIYには丁度良いサイズだし、最近の僕は樹脂加工をしないので、こいつを使うことにしました。
ただし寸法を測ると微妙に長さが足りなかったので、ちょっと継ぎ足して大きさを拡大しました。
次に内側に紫外線を反射するためのアルミ箔を貼っていきます。
スクリーンに塗布する薬品はUVレジン同様、紫外線に反応して硬化するのでアルミがベターです。
そして紫外線を発するためのブラックライトを設置し、プラ板のカバーをすれば露光の準備は完了です。
シルクスクリーン程度なら一般的な蛍光灯でも十分のようですが、細かい線もしっかり固めたかったので、ブラックライトにしました。
価格も蛍光灯と大差有りません。20Wは筐体がかなり大きくなるのでA3くらいまでなら10Wを数本並べるのが良いでしょう。後、虫を集めるケミカルランプも流用できます。
そして露光するスクリーンメッシュです。
これはナイロンのメッシュに感光乳剤を塗れば良いです。時間を短縮するため、ここでは既製品を購入し、フレームのみ自分で作りました。
フレームはスクリーンを貼るだけなので木材で十分です。ホームセンターで角材を買ってきて、それを加工します。
スクリーンを張る時には力がかかるので、釘や木ネジを打ち込んでしっかりとしたフレームにすると作業性が上がります。
シンプルな作りですが、このセットで露光機としては十分機能します。
早速焼いてみた
まず、既に感光乳剤を塗布されているTシャツくんスクリーンに焼き付けてみることにしました。
その結果がこちら。イラストのエッジ部分まで綺麗に表現されています。
元絵はこんな感じです。この印刷用に新規に書き下ろしてもらっています。テストではベタで陰影を表現してもらっていますが、今後はハーフトーンで陰影の濃淡を引き出したいですね。
動画にまとめてみた
露光機の製作の流れがわかりやすい様に今回は動画にまとめてみました。
製作過程を動画で1から見たい人はこちらをどうぞ。
シルクスクリーン関連は最終的にYouTubeでシリーズ化することにしました。
追記
この時の版は最終的にもう少し微調整してTシャツプリント用にしました。
Tシャツくんがやはり最強だとわかった
でまぁ、ここまでして露光機を自作するメリットが果たして有るか、と言われると結構微妙です…。
もし手軽にプリントTシャツを作りたいなら、やっぱりTシャツくんが最強じゃね?という結論になりました。ぶっちゃけ、製版作業は全然楽しくない割に費用が結構かかってしまいます。
そういった点を考慮すると、プリントTシャツを始める人には、まず全部出来上がっているTシャツくんをおすすめするのが正しいな、と今は感じています。
僕はA3とか大きいサイズを作りたかったので自分で露光機を作りましたが、結構製版の失敗も多いので、根気が強くない方はまずTシャツくんを買うか、製版は外部業者に委託した方が難易度として優しいです。
露光機の自作は結構マニアック、という結論に至りました。次回は実際のプリント風景をお届けしたいと思います。