こんにちは、MOSです。
先日制作した露光機でシルクスクリーン版を作っています。ただ思った以上に露光が難しかったので個別に記事を書くことにしました。
感光乳剤に切り替えた
最初のテストプリントはTシャツくん用のスクリーンを使いましたが、最近は感光乳剤で自分でスクリーンを作るところから始めています。
理由としては、スクリーンの大きさを自由に変えられることと、Tシャツくんスクリーンと比較しても大分コストパフォーマンスが高いからです。
Tシャツくんワイド仕様スクリーンはA3相当版5枚で4500円と、正直かなり高いです・・・。感光乳剤も塗ってくれているし、すぐにプリントを開始できるという点で凄い便利なのですが、試作回数が多くなる複雑な製版に使うにはコスト面がネックになってしまいます。
そこでジアゾ感光乳剤を使った製版に切り替えることにしました。
同じ値段でTシャツくんスクリーンの2倍くらいの面積に塗布できるので、トライ&エラーで製版するなら感光乳剤の使い方をマスターしておくと良いでしょう。
耐久性はそんなに差が無い
個人的にTシャツくんスクリーンは仕上げの洗浄工程で脆すぎると感じたので感光乳剤を自分で塗布するスタイルにしたのですが、肝心の耐久性はそんなに変わらない気がします。
輪郭のシャープさもそれほど差が無く、正直感光乳剤で良い版を作れるならTシャツくんスクリーンでも作れるな、という感じです。
大量に製版する予定が無いなら、Tシャツくんスクリーンで良いかも知れませんが。
ただし、Tシャツくんスクリーンは水で流すまでどのくらい露光が進んでいるのか判断するのは難しいです。感光乳剤の場合、硬化につれて色が変色するので、少しだけ最適なタイミングを計りやすくなっています。
製版は職人仕事
シルクスクリーンを始めてみて、これは完全に職人仕事だと気がつきました。
特に製版は印刷の品質を左右するので全く気が抜けません。微妙な紫外線の当て具合で仕上がりが大きく変化します。
これはテストプリントとしてUnderPowerMotorsロゴをプリントした物です。紫外線の当て具合が足らなくて、水で洗浄する段階で焼き付けた部分がそっくり流れ落ちてしまいました。
逆に時間が長すぎると、まったく余計な乳剤が落ちないという結果になるので、自分の機材の適切な露光時間というのは完全にトライ&エラーで探るしか有りません。
こういうところが面倒な人は、メーカーが露光時間を設定してくれているTシャツくんを買うのが確実に正解です。良い子はTシャツくんを買おう。
ちなみに、これは四角い痕跡だけ残るとかクッソ寂しい結果に終わったので、露光タイミングの試験用に再利用しました。
上手くいくとこんな感じで印刷に使えるんですがね…。自分で全部やろうとすると、ここまで行くのも結構大変です。
従来のカッティングシートで作ったステッカーと比べると、感光乳剤によるシルクスクリーン印刷の方が細部の再現性は高いです。
ちなみにトップ画像のスクリーンによる製版はYouTubeに動画でまとめました。
露光が上手くいかない時のヘルプ
自分で露光していると、思ったとおりに現像できないということが結構有ります。特に不均一に焼けてしまう、現像時に版が崩れてしまう、という場合は、大抵露光機の出力アップで解決できます。
「今5分で製版できてるし良いか…」という人も3分に短縮するつもりで出力アップすると、結果的に仕上がりが良くなったりすることが有るので、出力アップは常に念頭に置いておいたほうが良いです。
個人的には200Wくらいあると良いですが、現実的には100Wでも十分なスペックと言えます。20Wはちょっと威力が足りないですね。
太陽光は危険すぎた
DIYの製版では、紫外線の照射に太陽光を使っているケースがあります。私も一度物は試しで太陽光を光源に使ったのですが、夏場の強い日差しでは感光乳剤は秒速で硬化してしまうため、適切な露光具合を得ることが出来ませんでした。
ロゴくらいなら何とか出来なくもないかもしれませんが、複雑な描写の有るイラストなどは太陽光で露光するのはかなり難しいです。
やはり製版には露光機を適切に使っていきましょう。
露光しない、という選択肢も有り
最後に、シルクスクリーンをやる上で、”露光しない”という選択肢も提示させて頂きます。
ここまで書いたとおり、露光作業は重要性が高い割に非常に面倒な作業です…。しかも正直言ってあんまり楽しくは無いので、この工程を上手くやり過ごしてシルクスクリーンを楽しむ、ということも考えておいたほうが良いです。
https://www.katagiri-screen.com/
スクリーンの製版は代行サービスも既に登場しています。片桐写真型さんなどはかなり大きいサイズの製版にも対応しているので、少数の版の製作ならこういうサービスを頼ったほうが安上がりです。
もしくは、簡単なところではカッティングシートを貼り付けて版を作るというやり方も有ります。原理としては非常に簡単なので、キット化されているケースも有ります。任意の図柄にシートを切り出して、スクリーンに貼り付ければ版の完成です。
難点としては、この作り方だとシルクスクリーンの特徴であるグラデーションといった階調表現が出来ません。カッティングシートを切り出していくやり方は細かい表現がきかないので、ロゴなどの大雑把なデザイン向けのやり方です。
追記
シルクスクリーン動画はYouTubeにてシリーズ化しました