バイク

【解説】midjourneyをグラフィックデザインに利用してみた

こんにちは、MOSです。

最近midjourneyが急にバズり出したので、僕も色々触っているところです。このブログはイラストレーターさんへの発注がむちゃくちゃ多いので、一部でもAIによる描画で置き換えれたら嬉しいな、と思ったのですが、想像以上に実用的でした。

midjourneyの始め方

midjourneyは画像作成AIで、ユーザーの任意のデザインを学習して出力してくれます。

まずmidjourneyにアクセスすると、トップページに行きつきます。ここから先に進むにはDiscordのアカウントが必須です。アカウントを持っている方はjoin the betaから進んでください。

midjourney内にログインすると、”newbies”という名称のチャットルームが用意されています。チャットルームにワードを入力すると、AIが自動返信とイラストを返してくれるシンプルな作りです。

ただしチャットルームという都合、他にログインしているメンバーがいるとログが流れるのが早すぎて、自分の入力が処理されている間にもどんどんログが積み上がってしまいます。
現状ログインユーザーが多すぎるので、もう少し空いてくれるとゆっくり作業できるのですけどね。

初期のころは他の方が入力しているワードを見て、”このワードでこういう結果が出るんだな”というのを観察してみても良いですね。

任意の条件を入力すれば自動生成

希望のワードを入力するときは、まず”/”を入力してpromptを起動させます。これをやらないとただチャットにワードが送信されるだけで処理が進まないから注意が必要です。

AIによる処理が始まると、いよいよ最初の結果が返ってきます。

この時、返ってきた結果を更に煮詰めて欲しいときは”V”、その結果を微調整して終了としたいときは”U”で返答します。”V”では4つの選択肢から好みの物を選ぶため、何度も繰り返せばどんどん希望の絵柄に近づいていきます。一定回数を越えると、あまり結果に差異が無くなったり、変な方向にそれるので、その時は”U”で完結とします。

思うような結果が出てこない

意気込んで初めて見た物の、思うような結果が出なくて化け物ばかり出来る…というのは初期のあるあるです。

そういう時はまず、どういう作品に為たいのか雰囲気を伝えるワードを組み合わせるのがおすすめです。例えば映画っぽい仕上げなら”cinematic”、アニメっぽい仕上げなら”Japanese anime”など、作品のざっくりとした雰囲気を伝えるだけでもかなり結果が変わってきます。

また、1発目でイメージと違うならそこで打ち切ってワードの組み合わせを換えた方が早かったりします。

人物絵はまだ難しい

midjourneyは現状でもかなり精度が高いのですが、人物画は出力結果が安定しない印象で、人の目で見ると”う~ん…”と首を傾げる物が多いです。また、全身のシルエットを描くのも苦手で、体型のバランスが崩れることが多く、相当煮詰めないといけません。

ある程度ごまかす手法としては、人間は後ろ姿だけにするなど、苦手な部分を構図でカバーする方法が有効です。

精密さを求められるジャンルもまだ厳しい

部品点数の多く正確な描写を求められる機械、例えばオートバイなどの表現もまだ厳しいです。

実際に見せるとこんな感じです。

何度も修正を掛けるのですが、少しバイクのメカニズムを知っている人なら、これはおかしい、という描写が散見されます。特にタイヤなど単純な新円のパーツを無理にゆがめてしまう傾向が有ります。

結構それっぽいイラストは出来上がりますが、構造上の正確さを欠くと違和感を覚えるものはまだ苦手な様です。

グラフィックデザインはいけるのでは?

数をこなしている内に、逆にある程度おおざっぱに書けていれば良く、最後は人間の手で微調整すれば良いものなら有効なのではないか、と考えました。

そこでヘルメットのペイント案をmidjourneyを通して作ってみることにしました。
形状的にはおおざっぱな形の体裁が整っていれば良いので、これなら精度はそれほど気になりません。

実際に出来上がったのがこちら。

一般的なレーシングストライプ系のデザインならほぼ違和感ないデザインを出力してくれることがわかりました。勿論、細部の形状は現物合わせしないといけませんが、これだけ基礎が出来ていれば調整するのは簡単です。

また、”トライバル調”など、指定条件を変えてやれば、作風も大きく変更することが可能です。
ヘビ柄の様な複雑な模様を落とし込むこともできるので、結構こちらのイメージを上手く反映してくれます。

難点は”クリーチャーデザイン”などを柄に取り込みたいとき、思わぬところにクリーチャー要素が混ざってしまったりすることです。
特定の動物などモチーフを入れ込もうとすると、被ってる人間の顔が化け物になったりするので、まだまだ柔軟性には欠ける印象。

ワードのおすすめ

AIに出力させる際、多色を使った複雑なデザインは”psychedelic”、メタリックな質感、クリーチャー要素は”cosmic”、単純なストライプは”classic”、特定のモチーフを入れるときは”relief”などの単語を組み合わせて入力すると良い感じになります。

また、年代を入れるのも有効で、少しレトロなデザインに為たいときは”80s”など年代を指定すると古さが出てきます。
より写実的なデザインに為たいときは”realistic”などを指定しますが、これらは効果は少なめです。

ペイントデザインは十分高品質

midjourneyは設計用では無いため、一方方向のデザインしか出力できません。そのため、ある程度は人間側で補ってやる必要が有りますが、ヘルメットの様に左右対称にすれば良い製品なら、1枚絵からでも仕上げることは可能です。

ペイントデザインはどうしてもコストがかかる上、塗装するとやり直しが効かない部分が有りますが、AIによるデザインならいくらでも修正させることができます。
また、デザインが苦手な人、既存のデザインに満足していない人も、AIベースで作って微調整すれば斬新なヘルメットデザインが作れます。

生身のクリエイターの重要性はかえって増すかも

AIでイラストが簡単に作れるようになったとき、イラストレーターやデザイナーの仕事は減ってしまいそうですが、現状ではより正確さを重視する仕事、細部の出来を求められる仕事に関しては、それに対応できるクリエイターの需要はかえって増えるのではないかな、と感じました。

今後改良が進むと思いますが、まだAIによる描画では”ここをこうして欲しい”という細かい要望に答えられないので、”こんな感じで良い”くらいのざっくりした案件は今後AIによる描写がかなり食い込んでくるかも知れませんが、”ここはこうでないといけない”といった細かい指定に答えられる人の需要はむしろ増すと思います。
そこはまだAIによる対応が難しい領域なので。