こんにちは、MOSです。
シルクスクリーンはメッシュを固定するためにフレームが必須です。
市販フレームは木製かアルミ製のどちらかが多いので、初心者はどちらを選ぶべきか順を追って解説していきます。
シルクスクリーンの出来不出来はフレームが重要
シルクスクリーンに使うメッシュは、かなり強い力を加えて目一杯広げた状態でフレームに固定されています。そのため、フレームには一定以上の強度が必要不可欠です。
もしフレームの強度不足となったとき、メッシュを張った段階でフレームがしなってしまいます。こうなると印刷した文字や絵が歪んだり、本来の印刷結果とは異なる形で出力されますし、正確な印刷というのはほぼ不可能です。
逆に言うと、強度の高いフレームを選べば初心者でも一定水準のクオリティを出しやすいと言えます。
僕はシルクスクリーン歴4年ですが、初心者の方に勧めたいのは、まず”剛性の高いフレームを買う”ことです。
木製フレームの特徴
木製のフレームは自分で作ることもできる、初心者向けのフレームです。
個人的に木材を選ぶ最大の特徴はメッシュを釘で留められるということです。そのため、高額なストレッチャーが無くても、手作業でメッシュをフレームに固定することが出来ます。
また、アルミフレームに比べても単価が安く、数を揃える面でも有利です。同サイズなら、アルミの半分以下で揃えられます。
難点としては、木材は水を吸うので、製版したり洗浄した後に完全乾燥させるまで、アルミより少し時間が掛かります。すぐに作業に取り掛かりたい時はこれがネックになります。
また、絶対的な強度がアルミより劣るため、高精度なスクリーンを要求される制作環境ではこれも不利な要素です。
最適な使用目的としてはフォントやロゴの印刷など、あまり精度が求められない場合になります。
やってはいけないこと
シルクスクリーンの作例に市販のフォトフレームなどを流用している方がいますが、基本的にこれらの商品はメッシュの強い引っ張りを支えることを考慮されておらず、遊びレベルのクオリティまでしか出ないです。
木材はアルミに比べるとどうしても強度面で不利なので、やわなフレームでは話になりません。
木材でフレームを選ぶなら、最低でも30mm角以上の角材を選択して下さい。ホームセンターでもこのくらいの太さの木材は簡単に手に入るので、希望するサイズのフレームが無ければ自分で作るのも手です。
アルミフレームの特徴
アルミフレームはプロが使う本格的なフレームで、大型のフレームでも強度が高く、歪みも少ないため、高精度のスクリーンを作る上で必須のアイテムです。
実際、僕の工房でもブランド化する時点でフレームはアルミに切り替わりました。それくらい、”高精度で作るときはアルミ”と言える性能差が有ります。
用途は様々ですが、少なくとも絵画クオリティを求めるなら、最初からアルミで始めた方が良いです。
また、アルミは最初からスクリーンメッシュが張って販売されていることが多いです。これらは150メッシュくらいまでは、溶剤で絵柄を落とすことが出来ます。何度も張り直さないで良いので大変便利な商品です。
デメリットは、原則的にメッシュを接着剤で固定することが初心者には難しいです。均等にメッシュを接着するためには、紗張り機とかストレッチャーと呼ばれる物でメッシュを引っ張りつつ接着しますが、ストレッチャーはどうしてもメッシュに無駄が出る、設備に置き場が必要、とプロ向きの傾向が強いです。設備面や手間が掛かるので、アルミフレームはどうしても業務用という感じになりますね。
番外編:プラスチック
プラスチックはTシャツくんやスリマッカなど、一部の製品で採用されています。何といっても軽量で剛性もそれなりに高く、フレーム自体がストレッチャーを兼ねていたりと高機能なのが魅力です。
デメリットは製品のバリエーションが少なく、極端に大きいスクリーンが作りづらいこと。精度面ではアルミに一歩譲る、と言ったところです。
ただしこれらのプラスチックフレームは作業の手間を大幅に省くように設計されているので、結構初心者には優しいです。
いきなり本格的なアルミフレームで揃えても良いですが、本当に1からシルクスクリーンの設備を揃えるなら、市販キットも結構遊べます。